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日本人ってすごいんですよ!数学教育&和算編

日本には、日本独自の数学があったのです。

 

こんばんは、satoです。

「日本人のすごさ」を数学の視点から語る「日本人ってすごいんですよ!」のコーナー。

前回はこちらから→日本人ってすごいんですよ!数学・フィールズ賞編

 

考えてみると、前回は日本人の中にもすごい人はいるという話をしましたが、日本人皆がそうじゃない…とか、すごさを実感できない…とかって声も上がりそうです。

そこで今日は、日本の数学の特徴や数学理論について話をしたいと思います。実は皆さんの受けている教育って、すごいんですよ!ということが少しでも感じられたら、と思います。

 

『九九』-計算しやすい日本語の数字

 

皆さんは小学校のときに『掛け算』を習いましたよね?そのときに、『九九』を暗記したと思います。

 

「いんいちがいち、いんにがに…にいちがに、ににがし、…くはちななじゅうに、くくはちじゅういち」

 

と口ずさみつつ100マスドリルを繰り返して間違ったらやり直し…なんてやった小2のときが懐かしい。

実はこれ、日本語の数字の特性をうまく活かした勉強法なのです。

「一二三四五六七八九十」というのは、とても計算に便利なのです。

まず、繰り上がり計算がしやすい。

 

「11」←これなんて読みますか?

 

 

「じゅういち」ですよね。漢字では「十一」と書きます。

10+1だから、じゅういち。わかりやすいですよね。しかも、1~9までの足し算を覚えてしまえば、あとは「10になったら位が上がる」という風にするだけで何桁でも足し算ができる。先ほどの『九九』もこれと同じです。あまり違和感無いですよね。

ところが、これが他の言語だとうまくいかない時があるのです。たとえばアメリカで「11」はeleven

10+1という感がない…。だから、数字を見て計算することはできるかもしれないですが、普段の数字の感覚とうまく適合しないということが起きる、らしいです。他のヨーロッパ系の言語でも同様のことがあります。

 

また、日本人は歌や詩を作るのがうまいです。俳句や短歌は日本独自の文化として発展してきました。それが、先ほどの『九九』のように「計算を歌で覚える」という方法に結びついているのです。

日本人って、数学に限らず、数字を「語呂合わせ」で覚えますよね?

九九以外には、√2=1.41421356を「一夜一夜に人見頃」と覚えたり、1192年鎌倉幕府ができることを「いい国作ろう鎌倉幕府」と暗記したり。実は、日本人って「数字が大好き」で「数字で遊ぶのが大好き」な民族なのではないでしょうか?

 

日本独自の数学『和算』

 

日本の和算家『算聖』関孝和。(大人の科学.netより)

そんな日本人、鎖国をしていた江戸時代に『和算』という数学の理論が作られました。

これは中国で発展していた数学の理論を基に作られた「日本独自の」数学です。方程式や図形の長さ・面積を求める問題が多かったのです。

この数学は当時かなり革新的でした。具体的には

 

・連立多変数方程式の解や高次の方程式(の近似解)を計算できる。5次でも6次でも。

それを解くために1680年頃関孝和は『終結式・行列式』の概念を編み出した。ちなみに、西洋ではニュートンやライプニッツが1693年に 『行列式』 を発見した。

・円周率を結構な桁数手で計算した。

この方法は「円に内接する多角形の周の長さ」を計算するのだけど、

これを効率化するために関孝和が編み出した方法(『エイトケン加速』)を西洋で発表したのが1927年頃。

さらに、円周率の計算をするために様々な理論を編み出したけど、どれも当時の西洋数学より先取りしている。

・極限の概念がない中微分に近いこと(導関数の計算)や積分の概念(体積を「細かくスライスした面の面積を足す」ことで計算する)を見出す。

・ベルヌーイ数も関孝和が先に見つけていた。

その他、実は和算が最初に発見した概念は色々あります。

 

この和算は、残念ながら明治時代に西洋数学の導入によって廃れてしまいました。それは時の政府が「西洋至上主義」であったことが大きいです。他の国の発展を見て、自分の国の良い文化を捨ててしまう…。なんてもったいないことでしょうか。

 

実は日本には「世界に匹敵する数学理論」が存在していたのです。そして、その理論自体はなくなっても「数学者の血」は絶えなかったのです。それを次は書いてみたいと思います。

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。
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