おはようございます、satoです。
引き続き『原始ピタゴラス数』をテーマにした数学小説を書きたいと思います。
前半はこちらからです。
※こちらは日曜数学 Advent Calendar 2020の13日目の記事の続きです。
(本当に書きたかったのはこっちだというのはここだけの話)
2つの数の差が2となる原始ピタゴラス数
D「あー…さっきの証明、ある数と互いに素な2つの数を掛けても、その積はある数と互いに素になるってことが大事なんだな」
A「たとえば、
D「互いに素の定義は『公約数が
A「あとは…って、真理ちゃん何やってるの?」
二人で話し合っていたアキとディーが真理たちの方に寄ってきました。
M「今、私が考えた問題について話していたのよ。
さっき、数正が証明した問題は”2つの数の差が
X「その言い方だと、
2つの数の差の最小が
となるような原始ピタゴラス数の存在
M「そうね。最も小さい差が
A「そんなことを考えたんだ…」
M「最小の差が
それなら、最小の差を
X「フェルマーの最終定理もそうだ。
“自然数の2乗の和が別の自然数の2乗になる”ということがピタゴラスの定理なら、それを3乗、4乗と考えていったのがフェルマーの最終定理だからな」
M「そうやって新しい問題を作るのが数学の楽しみの一つよ。
…さて、そろそろ検討してみましょう。さっきの証明の右辺の
M「それから、
A「どうして?」
M「
X「先ほどと同じように、
M「右辺は偶数だから、左辺も偶数になるわね。だから、新しい文字
M「こうしましょう」
D「待て待て!一気に進んだな…一体何をしているんだ?」
M「最初の式変形はいいでしょ?」
D「そこはさっきと同じことをしてるんだよな?
M「ええ、ちゃんと理解できているようね。
今
D「
M「
D「それはそうだが…どうして
X「今は自然数の偶奇…偶数か奇数かに着目して話を進めている。
だから、
M「こういう自然数が出てくる問題は偶奇に着目すると解きやすくなることが多いのよ。もう一つ意図があるのだけど、これはすぐに分かるわ」
D「そうなんか。それで、
X「奇数の2乗は奇数になる。その対偶だな」
M「もし仮に
D「なるほどな。で、数正の言っていたやつは」
X「それはすぐに計算できる。というか、さっきも同じ計算をしていた」
A「あ、これのこと?」
X「そうだな」
M「
D「うっし、なんとか理解したぜ。で、次は何をするんだ?」
M「
A「ちょうど
X「さっき
M「ええ。
D「ってことは、
M「まず
A「偶数だったら、
M「そして
X「
A「さっきやった、この話!」
D「ああ、あれか。互いに素なやつを掛けても互いに素ってな」
M「最後に
X「…待てよ、今は存在を証明したいんだから、一つ例を考えたらいいんじゃないか?」
D「
A「すると
M「
D「
A「
X「
A「えっ、速い!」
X「
M「このあたりはよく使うからねぇ」
X「ともあれ、
M「
M「この不等式は
2つの数の差が3となる原始ピタゴラス数
A「おー、なんか面白くなってきた!証明の流れが分かってきたからかな!」
D「せっかくだから次行こうぜ!”2つの数の差の最小が
M「さっきと同じ流れでやっていきましょう。
M「さっきまでは展開していたけど、次のように因数分解すると計算が速いわ」
X「一般に差を
D「なるほどな。で、今の場合
A「ふむふむ。そしたら…
M「その通りよ。だから、
M「こう表しましょう。あとはさっきの式に代入して」
M「と、このように式変形できるわね」
A「ありゃ、さっきみたいにきれいにならないね」
D「しかも、最後の式の右辺って
X「付け加えると、
A「待って!
M「そうなるわね」
D「つまり…どういうことだ?」
M「今2つの数の差が
すると、
ということは」
X「”2つの数の差の最小が
D「…」
ディーは何回か計算を見ながら考えていました。
D「今仮定したのは2つの数の差が
原始ピタゴラス数は3つの数が互いに素であるという条件が必要だが、今の話はそれと矛盾している…ってことか?」
M「アキは理解できたかしら?」
A「ディーの話を聞いて私も分かったと思う!
2つの数の差が
だから、原始ピタゴラス数にならないってことだよね?」
X「その通り。もう少し見てみるか…」
を自然数として とする。
このとき、より
よって
X「なるほど、
A「えっ?そうなの!?」
X「まず、
という関係を満たしている。これは、差が
A「ホントだ。今日は見たことのある式が出てくることが多いね…」
M「つまり、
“2つの数の差の最小が3となるピタゴラス数は差が
ということね」
2つの数の差が4となる原始ピタゴラス数
A「原始ピタゴラス数が存在しないってこともあるんだね…。
“2つの数の差の最小が
を かつ
を満たす自然数とする。このとき、
A「だから、
M「
A「そっちもあったか!
そしたら…どうしたらいいかな?」
X「
を自然数として とおく。すると
D「ってことは、
A「
M「
X「”2つの数の最小が
D「…待て待て。ってことはあれか?差の最小が
A「
D「差が
M「やり方は分かってきたから、各自で試してみましょう。アキが
X「そうだな」
A「了解っ!」
D「やってみっか」
ということで、しばらくの間各々で計算してみることにしました。
A「差が
M「差が
X「差が
D「おいおい、これ、ずっとないってパターンじゃねぇだろうな…。
…ん、待てよ、これって」
A「次は…差が
でも、本当にずっとないって…」
D「おい、差が
A「えっ、ホント!?」
…ということで、予定より長くなったので、ここで一区切りします(^_^;)
書きたいことは出来てきているので、もう少しだけお付き合いください。
この記事を書いたブロガー
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「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。
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