人工知能で出来ること、出来ないこと~数学者の視点から~

おはようございます、satoです。

今日は今流行の人工知能について考えていたことを書きます。
題して「人工知能で出来ることと出来ないことはなにか」。

人工知能の発達

ここ10年で人工知能は大きな発展を遂げました。
車の自動運転技術が発達したり、人工知能が多くのデータを分析して解決策を見出したり、とある大学のTAとして大学生の質問に答えていたり(ちなみに、大学生は皆人工知能とは気づかなかった)、10年前ではSFの出来事だったようなことがたくさん起きています。
その中でも私が思う最も大きな出来事は将棋や囲碁といったテーブルゲームのプロがコンピュータに勝てなくなった、ということです。プロ棋士たちがコンピュータと戦った電王戦やイ・セドルとコンピュータの対戦は割と有名ですが、そこで共通して起きていたのが今まで人間が打ったことのない手を打って勝利したということです。解説が「予測不能だ」ということを話していたのがとても記憶に残っています。
このことは「人間のすることを模倣する」という段階を超え(特定の分野においては)「人間の予想を超える新たな手を作り出す」段階に入った、ということだ、と私は感じています。

この段階に至った大きな要因がディープラーニングという技術です。
これは、簡単に言うと「ある一定のルールを設定した上で、自分自身と戦わせ、繰り返し学習させる」ことです。将棋や囲碁はゲームなので、ルールが一定です。よって、コンピュータの速度で繰り返しやった結果、人間では到達できない対戦数を行いました。その結果、囲碁において重要となる「大局観」を取得するに至ったわけです。
このように、大量の情報を処理したり高速で演算することによって、人間の模倣を越えた動きや写真の判別も可能になり、さらには美術の分野でも独自の絵を描くなど大きな変化を見せています。

人工知能の出来ること、出来ないこと

このように様々な分野で力を発揮している人工知能。
ここからさらに10年後には現在ある人間の職業の大半がコンピュータに取って代わられる、とも言われています。
しかし、コンピュータにはコンピュータの得意分野、苦手分野があります。
たとえば、単純作業は疲れずミスをしないコンピュータの方が得意です。しかし、そうではなく「直感が求められる分野」、特に研究や芸術はコンピュータより人間の方が上でしょう。

最近人工知能が流行りになっているのは、「ビッグデータと呼ばれている大量の情報を処理・分析できるから」です。
この情報によって最近の流行の傾向や人々が何を考えているのかを読み取っていく狙いがあります。ある意味万能な扱いを受けている人工知能ですが、専門家によると思ったより万能ではない、と言われています。
たとえば、先程挙げたディープラーニングは「コンピュータの高速演算を利用して、何万回も繰り返す」ことで知己を得るというものですが、実は前提条件となるルールが一つでも変わると、一からやり直しをする必要があるようです
だから、もし将棋のコマの動き方が一つ変わるだけで、人間だったら過去の経験を少し修正すれば良いものでも、ディープラーニングは一から繰り返し解析をしないといけなくなるのです。このような「臨機応変さ」が効かないのがコンピュータの弱点になります。
したがって、ルールがちょくちょく変わるようなこと、接客業とかは人工知能では難しいのではないか、と私は思います。

それでは、私の専門である数学では、どれくらい人工知能のできることがあるでしょうか?これについては…長くなったので次回に続きます。

 

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。