30年ぶり新記録!藤井四段に見る「若さ」と「新しさ」の強さ

おはようございます、satoです。

最近将棋界がとてもホットです。
というのも、昨年最年少でプロになった中学生棋士藤井聡太四段が公式戦で負けなしの連勝記録を打ち立てているからです。
昨日は将棋の大会の中でとてもレベルも賞金も高い竜王戦の決勝トーナメントで増田四段に勝利し、ついに29連勝に到達しました!
これは1987年、今から30年前に神谷八段が立てた「28連勝」の記録を越える新記録です。それもデビューから公式戦負け無しでこの記録を樹立したのは驚異的です。

実は私、小学校の時に将棋を少しだけやっていたんです。と言っても駒をどう動かすのかが分かるくらいなのですが…。
どうしても定石とか囲いとかが覚えられず…さらに先を見る力も弱かったので、あまり強くありませんでした。

藤井四段の強さは中盤・終盤の読みの深さ、急所を見抜く力にあるのだそうです。
今回の増井四段との試合でも、藤井四段が序盤に攻めますが、途中増田四段によって苦境に立たされます。
ところが、そこで角二枚を使った「普通では思いつかない」攻め方によって形勢を逆転。最後詰められそうな場面もありましたが落ち着いて躱し、最終的には91手で投了しました。

この普通には思いつかない手、というのがAIコンピュータによる研究から来ているのです。
将棋界ではAIコンピュータによる将棋ソフトの発展が進み、プロ棋士と互角かそれ以上の戦いができるようになりました。
その中で、これまで棋士の中で確立されてきた打ち方「定石」を超える打ち方が多く出てくるようになりました。
この打ち方を取り入れ最初に成功したのが藤井四段だと言われています。

この藤井四段の活躍に、私は「将棋界の転換期」を見ます。
これまで人間同士の読みの世界だった将棋に、AIが入りさらに深く多様な世界に変わりつつある…というわけです。
藤井四段のデビュー戦の相手は最高齢棋士加藤一二三(ひふみ)九段。(加藤一二三九段、と書くと「1239段もあるの?」って勘違いしそうですが、ひふみという名前です)
加藤九段は藤井四段が出るまでは最年少デビュー記録を持っていた人でもあります。その加藤九段に勝利した藤井四段がその後快進撃を広げ歴史を覆しました。

それを見ながら、私は次の御言葉を思い出します。

若い人たちは強いです。考えも強いし、走り方も強いし、大胆です。若い人たちにはついて行けません。
モーセの時もそうでした。一世代。一世代たちは、今までやってきたことがたくさんあるんですね。これを捨てることが易しくありませんでした。昔のものに縛られています。奴隷生活でもそれがいいのです。でも若い人たちは善評しました。そして希望的なものを見ました。それに向かってカナンの地に向かって素晴らしく素敵に前進しました。-2017年4月12日の御言葉より

確かに、カナンの地に向かう最中、多くの困難があり、カナンにも多くの敵がいました。
そして、開発しないとそこは「荒野の地」でした。それを見て、イスラエル民族は悪評し、諦めました。「もうダメだ、私たちは死ぬんだ」と。
一方、ヨシュアとカレブ、そしてイスラエル民族の二世たち「若い世代」は「神様が共にしている、絶対に大丈夫だ」と悪評しませんでした。
その結果、イスラエル民族の一世は荒野で死に、二世たちはカナンの地に行ってその地を得ました。

このように、多くの試合を経て自分の打ち方や定石が身についたプロ棋士にとって「前例のない」、場合によっては「受け入れがたい」AI棋士の打ち方を、藤井四段や増田四段など若い世代はすぐに吸収します。
これに加えて「何万題と解いてきた詰将棋」による終盤の状況把握、対戦相手の打ち方を吸収できる柔軟性など…「繰り返し行なった」実力と「若さ」が藤井四段の強さを支えています。

本当に若いって良いですよね。

ところで、数学でも似たような状況があります。
望月新一教授が構築した数学の新理論「宇宙際タイヒミュラー理論」を巡って、次のような話を望月教授がしていました。

一定以上の研究業績のある研究者の場合、論文を読むとき、

学生や初心者のように「一から学習する」ような姿勢で時間を掛けて基礎から順番に勉強していくといったような読み方を極力避け、寧ろこれまで蓄えてきた専門知識や深い理解を適用できるように、自分にとって既に「消化済み」、「理解済み」な様々なテーマのうち、どれに該当する論法の論文なのか、論文の主たる用語や定理を素早く「検索」することによって論文を効率よく「消化」しようとするのです。-「宇宙際タイヒミューラー理論の検証:進捗状況の報告(2014年12月現在)」より

これは宇宙際タイヒミュラー理論の検証をする際、多くの(数論分野の有力な)教授が「一から学ぶ」ことを避けている状況について話しています。
その一方で、一部の大学院生やポスドクの人が望月教授の理論を理解して学会で発表している、という話を聞きます。
このことからも、「何もない若者」がもっと新しい構想を吸収しやすいということが感じられます。

私も、まだ研究者としては何も持っていない人です。
なので、もっとたくさん新しいものを学んで理解して、今のうちにより次元の高い世界に行けるように頑張りたいです。

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。