数学のA・B・C おまけ【素数の大切さと深遠さ】

おまけ:素数の大切さと深遠さ

素数というのは「自然数の構成要素」という点でも重要なのですが、それ以外にもたくさんの「面白い性質」を持っています。
たとえば、素数は無限に存在します。この証明は紀元前にユークリッドが証明したのを初めとして、多くの証明があります。
で、次に気になるのが自然数の中でいつ素数が出てくるのか。こういう「素数分布」についての情報も多く知られていますが、完全にいつ出るのかについてはわかっていません。
しかし、「ある予想」が成り立つとこれが完全にわかるのです。それが

リーマン予想

です。これは数学者でなくとも聞いたことのある問題では無いでしょうか?ちなみに、現在この予想を解決すると1億円もらえます。
数学で重要とされている素数ですが、実は実生活でも役に立っています。
先ほど紹介した「素因数分解の一意性」ですが、実は大きな数の素因数分解を求めるのは簡単ではありません。
大きな数同士の積は計算すれば時間はかかるけど解けるのに対して、素因数分解をするには「小さい素数から順々に割る」のでさらに時間がかかります。
この「積は簡単だけど素因数分解は難しい」という性質を利用して…
あなたが使っているネットワークのセキュリティが守られているのです。

物語風に書くと

A「これからデータ送るわ。はい、これ鍵ね」

    \[391891  999983\]

B「?なにこれ?」

A「これを入力したら開くようになっているから」

B「よくわからんけど…わかった。」

A「さて…データを送るか。パスワードは…」

…データを送ったAくん。しかし、それを横からハッキングする人が。

C「…キタ。Aのデータだ。
よし、こいつを開いて…ん、パスワード?」

391884337853の素因数分解を答えよ」

C「…ハァ!?なんだこのパスワード!こんなのわかるわけ無いだろ!
えーと、とりあえす2,3では割れないみたいだが…7で割れるかな…くそっ割れねぇ!!
11…13…」

一方、Bくんのもとにデータが届きます。

B「あ、来た。パスワード…」

391884337853の素因数分解を答えよ」

B「いや、わからな…あ、さっきの鍵を入力すればいいのか。
…よし、開いた。」

こうして、無事にAくんとBくんはちゃんとデータをやりとりできたのでした。

…こんな感じです。
実際に使われているのは、もっと大きな数ですけどね。
たとえば…

    \[170141183460469231731687303715884105727\]

これくらい。
ちなみに、現在最大の素数は1700万以上の桁数、数字をずっと書いていると(1数字1mmとすると)17kmになるようです…。

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。