satoの数学小説シリーズ「真理の森の数学セミナー」絶賛更新中!

数学のA・B・C その2

数学のA・B・C その2

こんばんは、satoです。(^o^)丿
数学ネタ、今日は「ABC予想」の解説その2です。
一回目は→こちら

復習:自然数の素因数分解

まずは「ABC予想」の主張を復習します。

    \[a+b=c\]

自然数a,bに対して、cabの和とします。さらに、abは互いに素、(これは前回書かなかったのですが)b>aとします。
このとき、0より大きな数epsilonに対して、次の関係を満たすa,bは有限個しかありません。

    \[c>rad(abc)^{1+epsilon}\]

ここで、rad(abc)は「a,b,cの素因数の積」です。今日はこれについてもっと詳しく書いていきたいと思います。

そもそも、素数って何?

まず、素数というのは「1と自分自身以外で割り切れない自然数」のことです。といっても…言葉だけではわかりにくいですよね(((^^;)というわけで、小さい数の素数を探してみましょう。
まず1ですが、これは素数ではありません。

「えっ、条件を満たしているじゃない!?」

はい、確かに1は1以外の数では割りきれません。
ただ、1は素数でない、ということにさせてください。これは後で出てくる「素因数分解の一意性」を保つためなのです…。詳しくはそこで。
それでは、2から行ってみましょう。
下は21,2,3で割った結果です。(…の先はあまりです)

begin{eqnarray*}

2div 1&=&2 \

2div2&=&1 \

2div3&=&0ldots2

end{eqnarray*}
このように、212のみで割りきれて、3以降の数では必ずあまりが出ます。
なので、2は素数です。
次に、3

begin{eqnarray*}

3div 1&=&3 \

3div2&=&1ldots1 \

3div3&=&1\

3div4&=&0lodts3

end{eqnarray*}
313では割り切れますが、2だとあまりが出ています。また、4以上の数ではずっとあまりが出ます。
というわけで、3も素数です。
次は4

begin{eqnarray*}

4div 1&=&4\

4div2&=&2 \

4div3&=&1ldots1\

4div4&=&1

end{eqnarray*}
414以外に、2でも割り切れます。なので、これは素数ではありません。
5はどうでしょうか?

begin{eqnarray*}

5div 1&=&4\

5div2&=&2ldots1 \

5div3&=&1ldots2\

5div4&=&1ldots1\

5div5&=&1\

5div6&=&0ldots5

end{eqnarray*}
かなり長くなりましたが、5は確かに15以外では割りきれません。なので、5は素数です。
このように、自然数というのは「素数とそれ以外の数(合成数といいます)」に分けることができるのです。
ちなみに、100以下の素数を全部書くと

    \[2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,53,59,61,67,71,73,79,83,89,97\]

となります。

どうして素数って大事なの?~素因数分解の一意性~

この素数は一部の数学者にはとても愛好されています。中には「素数大富豪」なるゲームを作る人まで…!詳しく知りたい方は検索してみるといいと思います。
さすがにここまでのファンではないですが、それでも素数というのは数学者の中ではとても大切なものとして認識されています。
それはどうしてか…と言いますと。

全ての自然数は、ただひと通りの素数同士の積で書ける。

という定理があるからです。これを「素因数分解の一意性の定理」といいます。つまり、素数というのは自然数を構成する原子とも言えます。
先ほど「1は素数でない」といったのは、1を素数とすると「ただひと通りの積」にならないからです。どんなに1を掛けても結果は同じですからね。
これを調べてみましょう。
まず、素数は「自分自身一つだけ」で表されるので、確かに上の定理を満たしています。
次に素数でない数、合成数について調べてみましょう。
先ほど素数でなかった4。これは…

    \[4=2times2\]

と書くことができます。2は素数なので、確かに「素数同士の積」ですね。同じ数を掛ける時に「2乗」とか「3乗」とか…「指数」をつけるともっと見やすくなります。

    \[4=2times2=2^2\]

次は6623で割り切れますから、素数ではありません。
これは

    \[6=2times3\]

という風に「23の積」で書くことができます。2,3は素数なので、これも「素数同士の積」で書けています。
30までの合成数の「素因数分解」を下に書いてみます。

begin{eqnarray*}

4=2^2, 6=2times3, 8=2times2times2=2^3, 9=3times3=3^2, 10=2times5\

12=2times2times3, 14=2times7, 15=3times5, 16=2times2times2times2=2^4, 18=2times3times3=2times3^2\

20=2times2times5=2^2times5, 21=3times7, 24=2times2times2times3=2^3times3, 26=2times13\

27=3times3times3, 28=2times2times7=2^2times7, 30=2times3times5

end{eqnarray*}
どれも「素数同士の積」で、ただひと通りに書けているでしょう?
各自然数の「素数同士の積」に出ている素数を素因数と言います。これがABC予想に使われる重要なキーワードの1つです。

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。

数学カテゴリの最新記事