「みんなは、神様からの天の言語、聞いたことある?」
ここはとある教会。主日礼拝後、Cさんは教会の女子大学生たちとご飯を食べていました。
皆がワイワイご飯を食べている時に、Cさんが皆に尋ねました。
「はいっ!私あります!」
Cさんのその一言に、隣にいたGさんが勢いよく手を挙げて応えました。
「おっ、じゃあみんなに話してあげて!」
「え~と…」
…おや?
手を挙げた勢いはどこへ行ってしまったのか…Gさんは皆の前で話すのを躊躇しています。
「どうしたの?」
「え~と…」
あれこれ考えながら、Gさんは小声で相談します。
「(あの…教会を離れていたときにあったことなので…これを皆に話すのはどうかなって…)」
なるほど。Gさんは教会に離れていた時の話をしようとしているのですね。
AKB48になりたい!という考えが強かったGさんは、摂理の御言葉を聞いて息苦しさを感じ、ある時教会を出ていってしまいました。
ですが、神様の万物を通しての働きかけと兄弟姉妹を通しての愛で、無事に教会に戻ることができました。
今では神様のことを愛して、日々自分を作ろうともがきながら努力しています。
あの時は本当に感動的でした…。
「(大丈夫だって!
むしろ、そういうときに働かれた神様の証は神様もお喜びになるし、みんなにも力になるよ!
もしGが言いたくないなら言わなくても大丈夫だけど…)」
「(いえいえ、私が恥ずかしいとかそういうことはないんですが…)」
そのことを知ってか、聖霊の感動を受けてか励ますCさんの言葉に、しばらく考えたGさんですが、
「え~と…私が教会に行かなかった時のことなんですけど…」
恐る恐る話し始めました。
「おぉ!」
「…何があったんですか…?」
教会の皆は興味津々。…それはそうですよね。
皆にとっても「教会に戻ってこれた」という恵み、その時にどう神様が働きかけたのか。
…心配だった人もいたでしょうし、神様のことをもっと知りたいという人もいますからね。
「(う~わ~…みんな食い付いてきた…)」
ですが、そんな皆の反応を見てGさんは若干引き気味です。
まぁ、人を見ちゃうとそうなりますよね…。
「(どうしましょ、全部話しちゃっても良いですかね…主よ…)」
そんなGさんが心の中で主に聞いてみると、
-話してみよう。-
そんな感動が来ました。
「(…うん、話そう。恥ずかしいこともあるかもだけど…神様が働かれたことだから…!)」
と、決心してGさんは続きを話し出しました。
「私が教会を出たのは、色々あって神様に対して寂しく思っちゃったからなんですよね。
で、金曜のお祈り会の時間、私は河原で一人いじけてました…」
「…」
友達であるBさんもGさんの話に真剣に耳を傾けていました。
Bさんも、教会に来れなかったGさんのために祈ったり、様々なことをしていましたからね…。
「私が『どうして私を助けてくれないの?ホントに神様いるのかな?』と心の中で呟いたときに…橋にケンカしてるカップルがいたんです。
女性が行きたいところに男性が連れていってるのに、女性が別の道に行こうとして『何で一緒に来てくれないの!?』というのが、ケンカの原因でした」
「あれ、それって…」
話を聞きながら、何か思い当たる節があるようなOさん。
「あのとき私は『バカだな~…あの女』って思ったんですが」
「Gちゃん、言い方が強烈だなぁ…」
「…まぁまぁ…Bさん…」
Bさんのつぶやきを、隣にいたNさんがフォローします。
Gさんは気にせず、続けます。
「実はあれ、神様からのメッセージだったんです。
あのように、私があなたを幸せにする道に連れていってあげているのに、あなたが勘違いして私と違う道に行って『私と共にしてくれない…』って寂しく思っているのだ。って。
私はあのとき全く気がつかなかったんですが…」
「やっぱり!」
その話を聞いて、Oさんが突然声を上げました。
「それ、御言葉に出てたよ!」
「え?そうなの?」
確かに、Gさんが教会から離れている間に聞いた鄭明析先生の御言葉の中にそんな場面がありましたね。
「…そうなんだ。今度ちゃんと見てみよう…。それで…」
それからGさんは友達に誘われ、クラブに行こうとしたときのことを話します。
「…道の途中に『カラスが荒らした残飯』があって、とっても臭かったんですよ。それで気持ち悪くなっちゃって…」
「…うっ…」
その光景を頭に浮かべて少し気持ち悪くなるNさん。
「それで、クラブに行かなくなったのですが…。実はここでも神様がメッセージをくださってて…」
「…どんな?」
「私の考えが残飯のように腐っているって…。」
「…アハハハ!」
突然笑い出すOさん。
「笑い事じゃないですよ~っ!」
思わずそれにツッコむGさん。
「いや、ごめんごめん。あまりにもピッタリだったから…」
まぁ、Oさんも悪気があってしたわけではないので…
「…そのあと、夕日を見ていたら、先生が御子に向かって『あれが太陽であるように…』と話されていたのが頭によぎって…。
それで、色々思い出したんです。自分がどうして摂理に来たのか、どうして先生を信じようと思ったのか…」
「ふんふん」
「それで、私が『摂理に戻りたい!』って神様に叫んだんです。そしたら…強い風で花びらが舞って、私を包んでくれたんです!
それが『このように私が愛して、いつも抱き締めている』って、メッセージだって気づいて…」
「うわぁ。感動的です…」
「…涙が止まりませんでした。」
そう言いながら、思い出し泣きをするGさん。
「…うぅぅ」
つられてNさんも涙が出てしまいました。
「実はね…。私もあのとき…」
そういって、BさんはGさんのために祈ってたときに小さなコオロギが蜘蛛の巣に引っ掛かりそうなところを助けた話をします。
「その時、『私がこのようにGを助けた』って教えてくださったんです。その時に、Gちゃんとの約束を思い出して…」
「そうだったんだ…Bがそんなに私のために…」
そういって、また泣き出すGさん。
「いやー。本当に神様はすごい!そして、姉妹愛ハレルヤ!」
「私も、そんな体験してみたいです…」
「みんなにもいつも神様が天の言語を通してメッセージを伝えてくださっているよ」
GさんとBさん、二人の話を聞いて、Cさんが御言葉を話し始めました。
それにOさんとNさんが答えます。
「神様が造られた万物ですね!」
「万物一つ一つが神様の単語…ですね」
「そうそう。そして、一人一人の立場に合わせて、万物を通して見せてくださる。
だから、大事なのは万物を見て、自分と結び付けること。『あのように自分も…』という風に、ね」
「…同じ万物を見ても、人によって神様からのメッセージが異なる、ということもあるのでしょうか?」
ようやく落ち着いたGさんが質問します。
「うん、同じ万物でもそれぞれの立場によって違うことを話されるよ」
「だから、万物一つに100万単語が込められている、とも言えますね。」
「そうそう。いや~、Bも大分成長したなぁ…」
Bさんがしっかり答えられたのを見て、Cさんは感慨深げです…。
「いや、今それ言わなくていいですから…」
それに恥ずかしそうに答えるBさんなのでした。
「というわけで、今週は特に万物を通してくださるメッセージを一人一人が感じられるように意識すること!それが今の自分の状態を把握し、この機会を逃さない最善の方法だ!」
「「「「はーい!」」」」
口を揃えて返事する女子大学生の皆さん。楽しそうなランチはまだまだ続きます…。
「…ということがあってね。」
「うわぁ!!すごい…!」
ここは駅前のカフェ。そこにはCさんとLちゃんがいました。
神様の御言葉を聞いて「神様の心情」を感じたLちゃんは「神様のことを喜ばせたい」と決心して、できるだけ毎日御言葉を聞いていました。今日はCさんがLちゃんに御言葉を伝えています。
CさんはGさんやBさんによる神様の啓示体験を話していました。そのことにLちゃんがとても驚いた、というのが今の対話です。
「神様はね、このように人に愛のメッセージを伝えているんだよ。毎日、毎瞬間!」
「…わたしにも、ですか?」
とCさんの話を聞いて思わず尋ねるLちゃん。
「もちろん!Lちゃんにもた~くさん神様がメッセージを伝えているんだよ!」
「…うわぁ~!!」
神様からたくさんメッセージを受けていると聞いて、とても感激するLちゃん。
「でも、わたしあんまり受け取れていないです…」
「それはね。Lちゃんが知らなかっただけだよ。
Lちゃんも、この御言葉を聞いたら…神様からの愛のメッセージ、ばっちり受け取れるよ!」
「本当ですか!?早く聞きたいですっ!!」
目を輝かせながら、御言葉を待つLちゃん。
本当に心待ちにしていますね。
「それじゃあ、今日の御言葉を始めようか!啓示論!」
「啓示…?」
「神様のメッセージを、啓示って言うんだよ。」
「…そうなんですね~!!」
そういって、「啓示論」の講義が始まります。
「夢や感動、幻…色々なものを通して神様は啓示を伝えてくださるけれど…今日はね。
特に万物啓示、万物を通しての神様のメッセージを教えるね」
「万物…ってなんですか?」
「自然、動物、植物、雲や太陽、星や月、机に椅子…。
この世の中にあるすべてのもののことだよ」
「…すごい…!」
「えっ?」
唐突な言葉に驚くCさん。
「スケールが…違いすぎです!!この世のすべてを使って、神様はわたしに語りかけてくださるんですね!うわぁ~…」
目に見えるものがすべて「神様からのメッセージ」。
そう聞いた瞬間、Lちゃんは目の前の世界が変わったように感じました。
今まで何気なく見ていた木や花、車…それらが自分に語りかける…。
「まるで、今いる世界が『わたしと神様の愛の空間』ですね!」
その世界にLちゃんは感激していました。
C「(…おぉぉ。噂には聞いていたけど、本当に霊的に賢いな…純粋ですぐに認識が変わる)」
Lちゃんの純粋な反応に感嘆するCさん。
「(…だからこそ)」
そして、Cさんはもっと気を引き締めました。
御言葉に反応するからこそ、自分を通して神様が伝えられる御言葉をちゃんと入れてあげないと大変なことになると感じ取ったからです。
「そうだよ!ここはまさに『Lちゃんと神様の愛の空間』!だからね、Lちゃんが神様からのメッセージを逃さないようにしないとね」
「はいっ!!でも、どうしたら神様からのメッセージ、もっと受け取れるんですか!?」
「それはね…神様を愛すること。
神様は自分を愛する人に語りかけてくださるから、自分が神様を愛すればいいんだよ」
「おぉぉ…でも、神様を愛するにはまだまだ自信がないです…」
「大丈夫!まずは関心を払うことから始めるんだ!
関心は愛の始まりだって先生も話されていたからね。
『この万物を通して、神様はわたしに何を教えてくださるんだろう?』って考えること。そうすれば、自ずと神様からの啓示を受けられるよ。」
「そっかぁ…わかりました!!毎日毎瞬間、神様のこと考えますっ!!
よ~し!これでわたしも神様から…」
「ちょ~っと待った!」
「!?」
そのまま突っ走りそうな勢いのLちゃんを、Cさんが止めました!
「確かにこうすれば、万物を見て何かを感じられるでしょう。
でもね、それが本当に神様からのメッセージなのか、わかる?」
「!?どういうことですか!?」
「落ち着いて…。深呼吸…」
かなり熱くなっていたLちゃんを一旦落ち着かせます。
相当熱が入ってしまっていたCさんも、少しクールダウン。
しばし時間が流れ、二人は落ち着きを取り戻します。
「…すいません、興奮しすぎちゃいました…」
「いや、私もヒートアップしてた…」
ふぅ、と二人が息を吐いたところで、講義を再開しました。
「それで、いったいどういうことですか?」
「たとえ、同じものを見て感じたとしても、それがもしかしたら『自分の考え』かもしれない『神様とは関係ない、ただの偶然』ってこともある。
もしかしたら…神様以外のものからの啓示かもしれない」
「そういうこと、あるんですか!?」
「あるある…これは、また別の時に話すね。…でもね、大丈夫」
「…?」
「もし私の考えとか、神様以外のものだったらどうしよう…」と少し不安を感じていたLちゃん。それを見て、Cさんが話します。
「私たちには聖書がある。そして、神様の御言葉がある。
聖書は人を通して神様が直接、言葉で話されたものが書かれている。そして、神様が直接話してくださった御言葉がある。
この御言葉と聖書に矛盾するものは、神様からのメッセージではない!」
「…おぉぉぉぉ!!」
それを聞いたLちゃん、不安が吹っ飛んで感激しています。
「…でも、わたしにはまだまだ聖書の知識が…」
「これから学んでいけばいいよ。一番私たちが聞くべき啓示は、この時代の主が話される真理の御言葉。
これを学びさえすれば、私たちも確実に神様からの啓示を受け取り、その意味がわかって、行える」
「…よかったです。なんか、ホッとしました」
そういって胸をなでおろすLちゃん。
「一番大切なのは、私たちが神様からの啓示を受け取って、その思いをわかって行うこと。
神様がこうやって啓示について教えてくださったのは…Lちゃんと毎日、毎瞬間対話したいからなんだよ」
「…!!」
Cさんのその一言に、胸がいっぱいになるLちゃん。
「わたしと…対話したいんだぁ…!」
「そうだよ。Lちゃんも神様と一日中対話して、メッセージを受け取って、もっと愛を深めていこうね!」
「…はいっ!!」
「それじゃ、また明日ね!」
「はいっ!よろしくお願いします!」
Cさんと別れて、家に帰るLちゃん。
「神様はわたしといつも対話したい…かぁ」
御言葉を思い出しながら、
「…よ~し!!私も今から神様のメッセージ見つけよう~!!」
そう、Lちゃんは決心するのでした。
次の日、学校にて。
「おっはよ~!」
「おはよー!」
Lちゃんは友達に元気よく挨拶をします。と、そこに一人のクラスメイトがやってきました。
「L、この間はどうしたの?」
「?この間って…?」
「ほら、この間、クラスの人気者だったあいつが告白したじゃん!」
「あー…」
少し前、Lちゃんはクラス一人気の男子から突然告白されました。
Lちゃんもその男子のことは気になっていた…のですが、御言葉を聞いて「神様のことをもっと愛したい!」と思ったLちゃんは彼の告白を断りました。
この経緯、天使である私はもちろん知っているのですが、クラスメイトたちは全く知りません。
なので、「あんなに気になっていた男子から告白されたのに振った」という風にしか見えず、全くわからないのです。
人は分からないことには興味を示すもの、特に高校生くらいの年頃になると恋バナにはとても敏感です。
なので、このようにLちゃんに聞いてくるのも分からないことではありません。
しかし…
「えーと…その…」
Lちゃんはどう答えたら良いか困っていました。
「神様のことをもっと愛したいから!」って言っても、神様のことを知らない彼らには分かりません。
「心に決めた人がいるから…」と答えればいいと私は思うのですが…素直で真っ直ぐなLちゃんはこういうとき正直に答えようとしてしまいます。
だから、余計に困っていたのでしょう…
「(あ、そっか!)」
おや?
「L~!お誕生日、おめでとう!」
とそこに、Lちゃんの友達がやってきました。
どうやら今日はLちゃんの誕生日のようですね。
「…うわぁ!ありがとう!!」
友達からお祝いされて、Lちゃんもご満悦のようです。
「えっ、そうなんだ~!おめでとー!」
先程男子を振った話を詮索してきたクラスメイトも、Lちゃんのことを祝福します。
どうやら、先程までの話は忘れてしまったようですね…。
「これからも、ずっと友達だよ!」
「うん!!ずっと友達だよ~!」
この「人気男子を振った事件」のこともあってLちゃんのことを妬んでいる人もいるみたいですが、とても仲良しの友達がいて本当に良かったです。
「これ、プレゼント!」
「何々!?…うわぁ~~!!これ、ハートの形のキーホルダーだ!」
「前からほしいって言ってたから…」
「そうなの!!うわぁ~嬉しいなぁ…!!」
「よかった~!!」
友達からプレゼントをもらって、とても嬉しそうなLちゃんなのでした。
「~♪」
学校からの帰り道。早速プレゼントのキーホルダーを鞄につけて気分よく鼻唄を歌いながら帰るLちゃん。と、そこに…。
「…」
「あれ?どうしたの?」
この間Lちゃんに告白したクラスの人気者が現れました。
「L、これ。前からほしいって言ってたハートのキーホルダー。」
「?」
「今日、誕生日だって聞いたからさ…。」
「あ…」
どうやら彼もプレゼントを渡そうとしているようです。
「…ごめん、受け取れないや」
しかし、それを断るLちゃん。
「え…?どうして…?」
「…ごめん。私には…心に決めた人がいるんだ。だから、受け取れない」
「…!そんな…」
もし彼からのプレゼントを受け取ってしまえば、「もしかしたらまだ可能性が…」と思わせてしまう。だから、こういうときはプレゼントをもらわない方がいい。
そういうことがわかっていたわけではないのですが、Lちゃんは「神様のこと」を考えてそうしていました。
…どうやら先程私が話したことが伝わっていたようですね…。
「私のことはもう諦めて…」
「あ…」
そういって、彼を後にして廊下を歩いて行くLちゃん。
「…なんとなく『これをもらったらまた彼から告白されるだろうな』って思ったから、断ったけど。
これでよかったのかな…彼のこと、傷つけてないかな…」
ちょっと彼のことを気にするLちゃん。
「ちょっと、あんた!」
「えっ?」
そんな二人のやり取りを見ていた女子から、突然声をかけられます。
「何、気取ってんのよ!」
「…え??」
女子から何を言われているのかわからず、戸惑うLちゃん。
「彼から告白されて、プレゼントもらったからといって『モテてる私つらい…』なんて思っているんじゃないわよ!あんたみたいなブサイク、彼には不釣り合いよ!」
「いや、そんなこと思ってないよ!?」
あぁ…この女子の周りから嫉妬の波長がたくさん飛んでいます。
どうやら…この女子は先程の男子のことが好きなようです。
ちょっと…痛いですね…。
「何よ、私には心に決めてる人がいるから…なんて、すかしちゃってさ!どこかの女優か、あんたは!」
「ねぇ、落ち着いて…」
「うっさい!あんたが悪いのに、何が『落ち着いて』よ!」
「…うぅぅ」
「泣けば済むと思ってんの!?いい加減にぶりっ子やめなさいよ!」
「…っこじゃ…」
「…えっ?」
「ぶりっ子じゃないもん!!」
思わず、強く言ってしまうLちゃん。あまりに身に覚えがないことを言われ続けるのに、耐えられず、ついに泣き出してしまいます。
クラスメイトの発言は単なる嫉妬から来るものです。彼女はもちろん「自分がモテてる」とか思っていません。LちゃんにはLちゃんの思いがあるのです。しかし、それはクラ女にはわかりません。
…それがわかったとしても、「自分が好きな彼が他の人を見ている」ってことが嫌な彼女にとっては、関係のないことなのかもしれませんが…。
しばらく二人の口喧嘩が続きます。
「はぁ…」
さっきの嬉しい気持ちはどこへやら。心が重いLちゃん。
「結局、私が謝ってなんとか治まったけど…。なんでこんなことに…。なんかやだな…」
私の目からしたら、もっとも彼のため、そして、神様のためになる行いをしたLちゃん。
ですが、やはりクラスメイトとケンカしてしまったことに落ち込んでしまっていますね。
「…どうしてなんだろう?どうして、こんなつらいんだろ…。はぁ…」
元気少女Lちゃんも、さすがに暗い気持ちになります。
はたしてどうしたら…。
「Lちゃん!」
「…あ。Aさん…」
と、Aさんがやって来ました。どうやら仕事帰りのようです。
LちゃんはAさんから声を掛けられたことがきっかけで御言葉を聞くようになりました。
高卒で社会人として頑張っているAさんは、Lちゃんにとって憧れの存在なんです。
「こんばんは」
「…」
Aさんを見て少し泣き出しそうなLちゃん。
「…ねぇ、駅前のカフェ行かない?」
それを見て、笑顔でカフェに誘うAさん。
「えっ?」
「私がおごってあげるね。行こっ!」
「あ…はい」
「…ふぅ」
「美味しいね~」
Lちゃんはお気に入りのチョコレートラテ、Aさんはミルクティーを飲んで一息つきます。
「ありがとうございます。いつもおごってもらってばかりで…」
「いいよ!飲み物くらいなら大丈夫。私、社会人だよ?」
「あ、そうですね…それではお言葉に甘えて…」
微笑むAさんの言葉を聞いて、チョコレートラテを一口飲むLちゃん。
「…美味しい~!!」
ようやくいつもの元気が戻ってきました。
「Lちゃん、本当にチョコレートラテ好きなんだね~。
飲んだら元気が充電されてるみたい…」
「そうなんです!!私チョコが大好きで…」
Lちゃんの反応に思わず笑みがこぼれるAさん。
いつものように元気に返すLちゃん。
本当に良かったです。
「…それで、今日は何かあったの?さっき、泣きそうだったけど…」
「あー…。見られてましたか…」
「うん。チョコレートラテ飲んだら、大分落ち着いたでしょ。」
そう。AさんはLちゃんの様子を見て、心を落ち着かせるためにカフェに行ったのでした。
「…ありがとうございます。おかげで、心が楽になりました!」
「よかった…」
「…実はですね。
私気になる男子がいたんです」
「…うん…えっ!?」
Lちゃんの言葉に衝撃を受けるAさん。
「それって…付き合いたいとか…ってこと?」
「はい」
「…それで?もしかして…告白して振られたとか?」
「いえ、その逆です」
「…まさか、付き合うの!?」
「…あ、そういう意味じゃなくてですね…」
内心「このまま付き合ってしまったらどうしよう…」とパニック寸前のAさん。
そんなこととはつゆ知らず、Lちゃんは笑いながら
「『告白されて、振った』んです」
事の顛末を話しました。
「…ええっ!?」
それを聞いたAさんは大混乱。
まぁ、「気になる人から告白されて振る」って普通ありえませんからね…。
しかも、その前の時点ですでにパニック寸前だったので…
「…」
完全に思考停止状態に陥ってしまいました。
「…あ、あの…大丈夫ですか?」
「…あ、ごめんね…」
が、心配になるLちゃんの声を聞いてようやく平常心を取り戻しました。
そうしてAさんは
「え~と…どうして?」
と理由を聞いてみました。
「その前の日に、Aさんから『エリヤを助ける時の神様の心情』について教えてもらったじゃないですか?
あのとき、私は『神様を絶対に悲しませたくない!』って思ったんです!
そうしたら、気になる男子に告白された時も、付き合ったら神様が悲しむような気がして…」
「…そうなんだ」
Lちゃんの告白に、Aさんは感動していました。
神様も、「私を優先にしてくれるなんて…」と感動されています。
「それで…今日は私の誕生日なんですけど…」
「えっ!知らなかった…。お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます!!」
Aさんのお祝いの言葉に笑顔で返すLちゃん。
「…で、そのときにその男子にプレゼントされそうになったんですけど、受け取らなかったんです。もし受け取ったら、また告白される気がして…」
「うん。その方がいいよ。
受け取ったら『まだ自分に対して気持ちがある!』って思っちゃうから…それは彼にもつらいことだと思うなぁ」
「…そうですか?」
「きっと、そうだよ」
Aさんのはっきりとした答えを聞いて、
「…よかったぁ!」
と安堵するLちゃん。
「実は、内心心配してたんです。『私が間違っていたのかな…』って」
「どうしてそう思ったの?」
「そのあと、クラスメイトの女子に言われたんです。
『あんた、気取ってんじゃないわよ!』って」
「えっ…?」
「別に私は気取っているわけでなくて、本当に自分が付き合いたくないしもらうのは嫌だったからそう言っただけなんですけど、私の言い方を見てそう思ったみたいで…それで、耐えられずにケンカしちゃったんです」
「あ、それで…」
「…最終的には私が謝って終わったんですけど、『どうして謝らないといけないんだろ…』って思ってつらかったんです。」
「つらかったよね…。何も悪いことしているわけじゃないのに…」
「…はい。それでAさんを見て思わず泣きそうになっちゃったんです」
少し笑いながら話すLちゃん。それを見ながら、
「…」
しばし考えるAさん。
ふとバッグにつけている一対のハートのキーホルダーを見て、
「はい」
その一つを取ってLちゃんに渡しました。
「えっ!?いいんですか?だって、これお気に入りって…」
そう、このキーホルダーはAさんがあるとき神様からもらった、大切なものなんです。この経緯は…別の話で。
「これはね。私が神様からもらったものなの。
『私はあなたをいつも見ている。いつも愛している。このキーホルダーのように私がいつも共にしている』って」
「そうですよね…そんな大切なもの…」
「大丈夫。このようにね。
『私はLちゃんをいつも見ているよ。いつも愛してるよ。
つらいこともあるかもしれないけど、私が慰めてあげるね。
だから、涙を拭いて、元気に、笑って、私を愛してほしい。』
って、神様がおっしゃってるよ。
このキーホルダーはその象徴」
「…!!!」
その言葉に衝撃を受けるLちゃん。
自分が神様を愛そう、そう思っていたけど。
「まさか、神様が『私を愛してほしい』って言うなんて…」
神様からの愛の告白に、衝撃を受けていました…。
「だから、これは神様からの誕生日プレゼント。お誕生日、おめでとう!」
そういって、Aさんは笑顔でハートのキーホルダーを渡しました。
「ありがとうございました!また明日の朝に!」
「うん!また明日」
Aさんと別れて帰路につくLちゃん。歩きながら一日を振り返ります。
「これからも、ずっと友達だよ!」
そういって友達がくれたハートのキーホルダー。
「これ。今日、誕生日って言ってたから」
そういって気になってた男子から渡されそうになったハートのキーホルダー。
「『私はLちゃんをいつも見ているよ。いつも愛してるよ。
つらいこともあるかもしれないけど、私が慰めてあげるね。
だから、涙を拭いて、元気に、笑って、私を愛してほしい。』
って、神様がおっしゃってるよ」
でも、その二つよりAさんからもらったハートのキーホルダーが一番印象に残りました。
「そっか…」
同じものをもらったとしても誰にもらったのか、もらったときの言葉によって、その価値が変わります。
Lちゃんにとっては、友達からもらったものより、気になる男子からもらったものより、「自分がつらかったときに、神様から愛の告白を受けてもらった」キーホルダーが宝物なんです。
このように、万物より、その経緯の方が価値が大きいし、その万物に込められた想いの方が価値が大きいです。
「きれいな…夕日」
夕日を見ながら、Lちゃんは…
「私は…」
神様の想いを悟るのでした。
人々は「いい環境」や「宝物」を得て生きることだけを貴重に思います。でも、「この世に属したもの」だけが宝物ではありません。「神様が望む御心を分かって行なって生きること」が永遠な宝物であり、永遠な財物です。
どうして御子はプレゼントを与えるのでしょうか?
その御心がプレゼントそのものよりもっと貴重です。その想いは…祈ってこそわかります。
私たちには神様から与えられた命、地球、そして御言葉というプレゼントがあります。でも、それはどうして与えられたのでしょうか?
その想いがわかるとき…命の、地球の、万物の、御言葉の価値が大きく変わるでしょう。
万物の値打ちより、経緯の値打ちがもっと大きい。
プレゼントより、そのプレゼントを与えたとき言った言葉の方がもっと大きい。
「ただいま~!!」
「おかえり。遅かったわね」
家に帰ってきたLちゃんをお母さんが迎えました。
「ちょっと友達と話してて遅くなっちゃった」
「そうなの。あら、そのキーホルダー…」
「今日、友達からもらったの!」
嬉しそうに話すLちゃん。
「へぇ…二つももらったの?形が違うけど」
「これは別の人から…あっ!」
お母さんの指摘を聞いて、あることに気が付きます。
「?どうしたの?」
「…なんでもない!ちょっと思い出したことがあって…カバンおいてくる!!」
「早く戻ってきてね。もうご飯だから」
「はーい!」
お母さんに返事して、急いで部屋に向かうLちゃん。
「そっか…」
部屋に戻って、二つのキーホルダーを手に取ります。
「友達からもらったのは、私。
Aさんからもらったのは、神様」
そう言いながら、Lちゃんは二つのキーホルダーを…一つにします。
「私と神様は…いっつも一緒なんだ!」
そのキーホルダーは、まるでAさんがしていたように。
二つのハートが寄り添っていました。
「うわぁ…私にも、聞こえた!神様の声が!
『このように、あなたと私はいつも一緒だ』って!うわぁ…」
神様からの啓示に気づいたLちゃんは、もう大興奮。
「うわぁ…」
あまりに胸がいっぱいで、言葉が出ません。
「Lー!早く戻ってきなさい!」
「あ、はーい!今行く~!」
お母さんに呼び出され、リビングに戻るLちゃん。
「ごめーん!おまた…」
「「ハッピーバースデー!!」」
リビングに行ってみたら、そこにはバースデーケーキと、たくさんのごちそう。そして、皆の笑顔が。
「…!」
「「お誕生日おめでとう!」」
「…うわぁ!ありがとう!!」
満面の笑みを浮かべるLちゃん。
Lちゃんはこのとき、「音のない神様の声」を聞いたのですが…果たして、それはなんでしょう?
一方、こちらはいつものマンション。
「ただいまー」
「あ、A。おかえり。」
Bさんは仕事から帰ってきたAさんを迎えました。
「あれ?A、そのキーホルダー…」
「え?あ、これ?」
BさんはAさんがいつもカバンにつけているハートのキーホルダーが一つなくなっていることに気づきました。
「今日たまたまLちゃんと会ってね。
今日がLちゃんの誕生日だったから…一つあげたんだ」
「へぇ…でも、それ『神様からもらった大切なもの!』って言っていつもつけてたじゃない。よかったの?」
「…うん」
「あら、A。おかえり。Lちゃんと会ったんだ?」
二人がやり取りしているところに、一緒に暮らしているIさんが入ってきました。
「Iさん、ただいまです。
そうなんです。Lちゃんと会ったんですけど、ちょっと落ち込んでいるようだったので、カフェに行って話をしていたんです」
「あら…そうなの。
今朝会って御言葉を伝えていたときにはとても元気そうだったって聞いたけど…。いったい何があったの?」
「ええ。
実はLちゃん、好きな人がいたんだそうです」
「えっ!?」
「…そうなの?」
Lちゃんに好きな人がいると聞いて、驚く二人。
「私も最初聞いたときには内心焦りましたよ…。
『せっかくLちゃんが神様を信じ始めているのに、彼氏ができてその心が奪われたら…』と、ドキドキしました…」
「それで、どうなったの?」
「…まさか、落ち込んでいたのはその彼氏に告白して振られたとか?」
「私もそう思ったんですが…私がエリからを伝えた次の日に、『その人に告白されて、Lちゃんが振った』んです」
「…へ?」
いつも冷静で落ち着いていることで有名なIさんですが、Lちゃんの行動を聞いて唖然としていました。
「…そうなんだ」
一方、Bさんは安心していました。
「私がエリからを伝えたときに『神様を悲しませたくない!』って感じて、『もし私がその人と付き合ったら、神様が悲しむ…』と思って振ったんです。
今日もその人から誕生日プレゼントをされたんですけど、『また告白されるかもしれないから…』と受け取らなかったって話していました」
「…すごいわ…」
Lちゃんの神様を優先する気持ちに、Iさんはとても感嘆してました。
「この間エリからを伝えたとき、神様の心情を感じて涙したって聞いた時点で『純粋だ』とは思ってたけど、そこまでするなんて。
…この子、大物になるわ!」
「でも、それを見たクラスメイトに色々悪口を言われて、それでケンカになったんです。そのことで心が苦しくなって…」
「それでAに会ったときに落ち込んでいたんだ。」
「うん。それで感動が来て…」
「キーホルダーを渡したのね…」
「はい。神様がLちゃんを見て、すっごくこれを渡したいって思った気がしたんです」
-Aさん、これあげるね。-
「私もすごく落ち込んで、先が見えなくなったときに神様からこれをもらいましたから…」
-このキーホルダー、一対でしょ?
一つはあなた、もう一つは神様。このキーホルダーのように、いつも神様はあなたと共にいるわ。
これからつらくなったときには、これを見て思い出してね。-
そういって、Aさんはキーホルダーをもらった時のことを思い出していました。
その時の言葉と共に。
「(…懐かしいわね。あのとき弱気で泣き虫だったAが、今ではこうやって人を励まし、力を与えているのだから…)」
Iさんもまた、その時のことを懐かしんでいました。
「…?あの…いったい…」
そんな二人の雰囲気についていけず、一人置いてけぼりなBさん。
「…まぁ、いいか」
Bさんもいつかわかるときが来る、かもしれませんね。
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「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。
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