私の数学研究ってなんか物作りみたい。

おはようございます、satoです。
ここ最近仕事がなくて、ちょっと心の問題を解決するために色々しているのですが、その間に並行して数学の研究を久々にしています。秋にも時間があった時にやっていたのですが、その続きでいくつかの例で計算をしながら証明のアイデアを発見して、それを繰り返して組み合わせております。

今回の計算はまず博士課程の際に証明した定理が土台となっていまして、その拡張を試みています。
最初は「元の定理と同じような条件だったら複雑すぎてできないなぁ」と考えていたのですが、具体例を一回計算してみると「全く気づかなかったポイント」に気付けたわけで、これを使って一般化しつつ「定理の拡張版」を予想してみました。
しかし、最初の方針でこの予想を証明するとかなりの場合分けが必要となります。ひとまず行き詰まる所まで証明してみましたが、やはりめんどくさいしさらに拡張すると明らかに証明きつい…となりました。
ここまでが秋に計算した結果でした。

今回は方針を変えて「既に証明した条件でなく、まだ証明していない条件の例を計算してみる」ことにしました。
これは「もし予想が間違っていたら、証明していない条件の例でも成り立たない可能性があるし、成り立つ場合は証明の方針が分かる」からです。
実際に計算した結果ちゃんと予想が成り立ったのですが、この計算を見ながら「予想の証明の方針」が少し見えてきたところがありました。
同時に必要となる補題の形が見えてきたので、この証明の一般化をすることを試みました。
そこで、この補題をさらに広い例で計算することにしたのですが、それがちょっと面白いなぁと思ったのが今日の記事の核心です。

今回の証明は「数学的帰納法」を使うことにしました。
数学的帰納法とは「n=1で成り立つ」ことと「n=kで成り立つことを仮定してn=k+1の場合を示す」ことで「全ての自然数nで成り立つ」ことを証明する方法です。
今回は自然数でなく「全ての自然数の組」で成り立つことを証明するのですが、全ての場合を証明するために「最初の場合」と「nより小さい時に成り立つ」というのをどんどん繰り返していくわけですが、ここが「一つの機械を構築するパーツを作る」みたいで面白いなぁと思ったのです。
しかも、一つのパーツを作るためにまた細かいパーツを作っていく必要があるのですが、その証明も同じ内容でなく、より細かいところの議論が必要となり…「数学的帰納法で証明するためにさらに数学的帰納法で証明する」ということが起きているのです。

私は実は物作りが好きで、最初の形を作るところはかなり苦戦するのですが段々形が見えてくるとどんどんのめり込んでいくわけです。これは四葉雪だるまを作っている時も同様でした。
最初は「本当にできるのかね、これ…?」と思っていたのですが、形が見えてくると一気に楽しくなってのめり込んでいきました。最後にはもはや我が子のような愛情すら芽生えてましたよ笑
イラストもそうですね。ちなみに今回のアイキャッチは初めて描いた推しの一人ウマ娘のライスシャワーです。かなりラフですが、思った以上に可愛く描けた…

今回の証明も最初に比べて段々細かいレベルの議論が出ているのですが、これ自体も最初は大雑把な感覚でやっていたのが繰り返すごとにどの条件を使って出てくるのかを示せるようになってきました。この段階になると論文に書けるようになります(ここまでできれば英語で書くのは意外と苦労しないんです。日本語で書けないから英語でも書けないわけで…笑)

ところで、今回の証明は割と論理パズルっぽい議論をしておりまして。昔から新聞の論理パズルをやっていた私としてはかなり懐かしい感じがします。しかも、この議論の一部、微妙に修士時代に扱った内容でもあります。これが一番面白い。

果たしてどれくらいスムーズに証明できるのか…頑張ります(´っ・ω・)っ

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。