【摂理人が書く物語】「脳の愛」で笑え!天の愛たちよ。その1

M「…」
Mさんは衝撃を受けていました。
みんなが通う教会の中で一番長く信仰を持っている彼。
今まで教会にずっと来て、御言葉も伝え、人も連れてきて…熱心に信仰を守ってきた彼。
「この教会の誰よりも先生を知っている。」
そう自負心を持っていた彼が、あることで衝撃を受けていました。
果たして、いったい彼に何があったのでしょうか?
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E「…という流れね。」
D「よっしゃ!」
W「これ、絶対面白いっすよ!もう、会場大爆笑!」
芸術祭本番まであと二日。
Dくんたちが住む家にはDくんとEくん、そして高校生のWくんがいました。
このWくんもみんなの教会に通っていて、学校の帰りに芸術祭の打ち合わせに来ていたのでした。
W「Eさん本当にセンスありますよね!お笑いの。」
D「正直、意外なんだが…。」
E「でも、漫才のツッコミ役は相当頭がいいって聞くよ。
どのようにツッコミを入れたら会場がどう反応するか、台本を作るときに頭の中で計算しているみたい。」
W「意外っすね。見た目はそうでも…」
とんでもなく失礼なことを言うWくん。それをEくんが諌めます。
E「人は見た目で判断するものではないよ。」
W「あ、「人は外の顔かたちを見、主は心を見る」っすね。サムエル記上の16章。」
サムエル記上16章7節
しかし主はサムエルに言われた、「顔かたちや身のたけを見てはならない。わたしはすでにその人を捨てた。わたしが見るところは人とは異なる。人は外の顔かたちを見、主は心を見る」。
Wくんは普段はそこまで頭がいいわけではないのですが、聖書の聖句はよく覚えていて時々状況に合った聖句が頭に浮かぶ、という特技があります。
D「いや、Wはすごいな!いつも聖句が思い浮かぶなんて。」
W「いやいや、それほどでも…もっと褒めて(笑)」
D「おいっ!」
笑いながらWくんにつっこむDくん。
かなりのお調子者なWくんですが、Dくんたちと仲良くやっています。
E「Wのその特技を生かして…
「三人で話をしているときに、Wが聖句を思いつく。
それを見たDが対抗しようと真似をするけど、正反対の聖句を言う。それをWが突っ込む。僕は二人の様子を見ながらときにボケたり突っ込んだりする。」
という流れね。聖句をそんなに覚えている人がいるか、という心配もあるけど、そこはDのリアクションでカバー。Dがうまく聖句を表現するのが大事だよ。」
D「おう!…って、これ俺がかなーりダメ人間になっている気が…。」
E「大丈夫だよ。
いつもFとコントやってるじゃん。あのノリで行けば問題ないよ。」
D「あれはFが勝手にボケるの!俺はツッコミ役!」
E「見ている人からしたら、Dも立派なお笑いキャラだよ?」
D「オイッ!」
W「アハハハ!」
D「W!笑うなよ!」
W「いやだって…この会話だけですでにコント…(笑)」
そうですね。完全にコントです。
D「まったく…(笑)」
まぁ、Dくんも終始楽しんでいるんですけどね。本当に仲がいいですね、この三人。
D「よし、じゃあさっそく練習するか。あんまり遅くなると…。」
時計を見ながら、Dくんがそう話します。
とっさに頭に浮かぶのは昨日のこと。
W「Dさん?どうしたんすか?」
E「なんか気分がよくなさそうだけど…。」
D「あ、いや何でもない。ちょっと考え事をしていただけだ。」
E「そうなんだ。」
W「珍しいっすね。いつも何も考えないのに…」
D「そうそう、いつも何も…ってコラッ!」
E「W。いつも何も考えていないというのは失礼だよ。」
D「そうだ、Eからもちゃんと…。」
E「たまには、真剣に考えることだってあるよ。」
D「フォローになってねぇ!!」
E「そう?」
W「やっぱり、友達の立場から言われると説得力が違いますよねー(笑)」
D「いやいやいや!俺はいつも考えてるぜ!」
W「何をですか?」
D「…愛する主のことを!」
W「…」
E「…」
D「あ、あれ?
そこは「すげぇ!さすがDさん」ってなるところじゃ?」
E「…冗談を真面目に返すなんて…まったく。」
W「ネタにマジレス、カッコワルイ!空気読んでくださいよ!(笑)」
D「す、すみません…。」
あきれる二人に謝るDくん。信仰者としては正しいことを言っているんですけどね…。
というか、これで芸術祭に出ていいんじゃないでしょうか…(笑)
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M「ふぅ…今日も仕事が終わった。ったく、なんてつまらん毎日なんだ。」
仕事終わりのMさん。どこか疲れているようです。いや、それはいつものことでしょうか。
M「まぁ、仕事が定時で終わっただけでも感謝なんだが。さて、家に帰ってゆっくり…」
そう呟きながら玄関のドアに手を掛けますが…。
M「今日も何かをやっているみたいだな。まったく、昨日「もう少し静かにしろ。」とあれほど言ったのに…。」
少し苛立ちながら、玄関のドアを開けます。
W「いや、そこは…って、ドアの音?誰か帰ってきたみたいっすよ。」
D「へ?この時間に?…待てよ、今日はMさんが定時で上がるかもしれないって。」
E「じゃあ、もう少し静かに練習しようか。」
Dくんたちはリビングにいましたが、その隣がMさんたちの部屋。仕事帰りのMさんに気を遣い、Eくんが少し静かに練習をすることを提案します。
M「…静かになったな。今日は楽器の音でないようだが。一応見に行くか。」
そういって、Mさんはリビングのドアを開けます。
M「何をしている?」
D「あ、Mさん。おかえりなさい。」
W「お邪魔してます!」
E「すいません、芸術祭の練習のために使わせてもらってました。」
M「WとEも一緒か。ここを使うのは問題ないが、少し音には気をつけろ。
さっき玄関を開けたときに音が漏れていたぞ。」
E「少し練習が盛り上がってしまったみたいですね。注意します。」
M「ところで、三人は芸術祭で何をするんだ?」
W「コントっす!!」
嬉しそうに話すWくん。
M「コント…。お前たち、今回の芸術祭の意図を理解しているか?」
それを聞いてあきれたように話すMさん。
W「へっ?」
M「今回の芸術祭はな、「神様が自分たちに与えてくださった個性、才能を発揮して、天に栄光を帰す」ためのものだ。そんな神霊な舞台でコントなんて、ふさわしいと思うのか?」
D「なっ!」
E「Mさん…それはちょっと言いすぎでは?」
Mさんの心ない言葉に少しいらっとするDくん。いつも冷静なEくんもMさんに反論をします。
M「何を言う。この舞台は神様、聖霊様、御子がご覧になる。
それを考えたら…」
W「Mさん。」
M「ん?話の途中だぞ?」
Mさんが話している途中で、Wくんが突然口を挟みます。
W「すいません。失礼なことをしているのはわかります。でも…一つだけ聞いていいですか?」
M「…なんだ。」
W「鄭明析先生は…お笑いをしないんすか?
M「…!?」
W「俺、Hさんから先生について色々話を聞きました。
先生は、もちろんいつも神様に対して真摯に迎え、いつも心を込めて尽くしているって。
でも、それだけじゃなくて、先生は神様を楽しませるために、色々面白いことをしているって聞いたことがあります。」
E「…そうだね。」
W「それはもう、自分というものを全て脱ぎ捨てて、ただ神様を笑わせようとしている姿でした。ダビデと同じように…。」
サムエル記下6章14-15節
そしてダビデは力をきわめて、主の箱の前で踊った。その時ダビデは亜麻布のエポデをつけていた。
こうしてダビデとイスラエルの全家とは、喜びの叫びと角笛の音をもって、神の箱をかき上った。
M「…。」
Wくんの話に言葉を失うMさん。
W「それに、先生だってオレたちを楽しませてくださるためにお笑いだってしたことがありますよね。Hさんから映像を見せてもらいました。オレ、あれを見てすっごく笑いました。本当に面白かったっす。」
D「W…。」
Wくんが芸術祭に向ける思い。それをみんなは何も話さず聞いていました。
W「先生は…今、あの場所でオレたちのために体も心も限界まで尽くして祈って、御言葉を書いてくださっているんですよね?それだから、オレは摂理にいる。」
胸に手を置いて、力強く証するWくん。
W「今先生があそこでオレたちの苦痛と犠牲になってくださっているなら…出てきたらこのコントで笑わせたいんです!そして、今までの労苦と疲れを吹っ飛ばしてさしあげたいんです!
Wくんのまっすぐな、どこまでもまっすぐな先生への愛。
Mさんを見るその目は、はっきりと澄んだ、力強いものでした。
M「…」
そんな目を見ながら、Mさんは、衝撃を受けていました。
M「…外に出てくる。」
D「あ、Mさん!」
M「ここは自由に使っていい。ただし、くれぐれも音にだけは気をつけろ。いいな。」
そういって、Mさんは足早に家から出ていきます。
W「…あの、何か失礼なこと言いましたかね?オレ…。」
それを見て、慌てるWくん。
E「いや、違うと思う。そうだったら、Mさんはちゃんと注意するよ。」
D「Wの先生に対する思いが、Mさんを動かしたんだよ!W、すげぇぞ!
俺はお前を誇りに思うぞ!」
W「ヘヘッ、照れるぜ…(笑)」
D「オイッ!」
Dくんは突っ込みながらも、Wくんのまっすぐな先生に対する思いに感激していました。
→その2

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。