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【摂理人が書く物語】否定の目を閉じ、天の音を奏でる。その2

【摂理人が書く物語】否定の目を閉じ、天の音を奏でる。その2

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S「…Mさん。」
M「どうした?」
Tくんが帰ったあと、SさんはMさんと話をしていました。
S「まずは、すみませんでした。
自分たちのことに夢中になって、周りのこと考えていませんでした。」
M「お前はもういい年なんだから…」
S「ええ、気をつけます。自分がうまく導いてあげるべきでした。
ですが…」
M「…」
S「さっきのあれは…」
あれ、とは先ほどのMさんの言葉です。
M「俺はただやめろ、と言っただけだ。別にSやTを責める意図はない。」
D「(いや、でもさっきの言葉どこか…いらつきがあった気がするぞ。)」
二人の会話を聞いていたDさんは心の中でそうつぶやいていました。
S「そうですが…。でも、あの言葉で傷つく人だって…。」
M「それは、Tの心の問題だ。」
S「…別にTとは言ってませんが。」
M「Tに限らず、人の言葉に傷つく人は心が弱いからだ。」
S「…」
それは心が弱いのではなく、繊細なんです。
そういう人がいるから「言葉に気をつけなさい。」と先生はおっしゃっていたじゃないですか!?
そう言おうと思っていたSさんですが…。
S「(ダメだ…このまま話したら、Mさんを責めてしまう。
それは、主の願うことじゃない…。)」
口に出すことをためらっていました。
M「…もういいか?
俺は休むぞ。明日も仕事だからな…。」
その間にMさんはリビングから出て、自分の部屋に戻っていきました。
D「Sさん…。」
S「D、お前も休めよ。明日の明け方のこともあるからな…。」
D「どうして、Mさんに言葉のこと言わなかったんですか?」
S「どんなに御言葉が正しいとしても…。
いや、これはDが祈って悟ってくれ。」
そういって、Sさんも自分の部屋に戻っていきました。
D「…」
Sさんの言葉を聞いて、ただ一人Dくんは祈っていました。
———————————
T「おはようございます。」
S「おう!」
次の日。TくんはSさんと一緒に練習するために家に来ました。
T「あの…昨日はすいませんでした。少し練習が長引いてしまったから…」
S「Mさんのことは気にしなくていいよ。
あれは家の住人である俺がちゃんと考えるべきだった。すまん。」
T「そんな…Sさんが謝ることでは。」
S「…昨日のことはもう気にすんなって!」
そう笑いながらTくんの背中をバンバン叩くSさん。
T「…はい。」
Tくんも笑っていました。
しかし…やはりそのことを引きずっているようです。
S「よし!それじゃあ、今日も練習するぞ!
もう芸術祭本番まで時間がないからな!」
T「そうですね!やりましょう!」
S「よし、それじゃあ、昨日の続きから…」
———————————
S「それじゃあ、二人で合わせるぞ。」
T「はい。いつでもどうぞ。」
S「…1,2,3,4!」
昨日と同じようにSさんはギター、Tくんはピアノを弾きます。
S「ストップ。」
しかし、演奏が始まってすぐにSさんは演奏を止めます。
T「…どうしましたか?」
S「T、どうした?
音が少し散漫だぞ。」
昨日の優雅な、それでいて心情が流れるような演奏とは違って、少し音が乱れていたTくんの演奏。
T「…すいません。もっと集中します。」
S「時間もないし、気を引き締めるぞ!
もう一回だ。」
T「はい!」
そういって、もう一度演奏を始めるTくんたちですが…。
S「ストップ。まだ音が乱れてる。」
T「…すいません。
どうしたんだろう…こんなにうまくいかないなんて。」
まだ、Tくんの音は安定しません。
そのことで、Tくんは少し焦ります。
S「T…まだ昨日のこと気にしてるんじゃないか?」
T「そんなこと…ありませんよ。」
Sさんは笑って話しかけますが、Tくんの反応はいまひとつ。
昨日のことを気にしているのは、見て明らかです。
S「…」
T「さあ、もう一度やりましょう。もう時間が…」
S「休憩だ。
外に出よう。」
そして、Tくんは急いで練習を始めようとします。が、それを遮ってSさんが外に出ようとしていました。
T「え?あの、もう時間がないのですが…」
S「いいから!散歩しに行くぞっ!」
T「あ、ちょっと!」
SさんはTさんの肩を抱きながら、強引に散歩に連れて行きました。
→その3

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。

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