これはまだGさんが教会に来る前の物語。ある日、大学で…。
G「…むぅ。」
歩きながら悩むGさん。
G「…確かに、御言葉はいい。人も良さそうだ。でも…」
その内容は、最近聞き始めた御言葉と教えてくれる人について。
色々あって御言葉を聞き始めたGさん、聖書の読み方を教えてもらい、だいぶ神様に対する誤解は解けたようなのですが…。
G「本当に、これって良いのかなぁ…」
少し、教えてくれる人たちを怪しんでいるようです。
G「な~んか、引っかかるんだよなぁ…。御言葉はいいけど、それを使って騙そうとしているような。そんな感覚がどうしても拭えない…」
実はGさん、一回人に誘われ行ってみたら、危うく高額の講義ビデオを買わされるところだったということがありました。そこがカルト宗教と言われているところだった、ということをあとで知りました。それ以来、Gさんは宗教に対してとても警戒しているのです。
御言葉を聞きながら少しずつその傷は癒えてきたものの、完全に疑いが解けたわけではありませんでした。
G「…」
そんなGさんの目に留まったのは、『カルトに注意!』と書かれているポスター。
カルト宗教がどのように勧誘するかが描かれています。
G「どうも、似てる気がするんだよなぁ…」
それから3時間後。
I「こんにちは。」
G「こんにちは…。」
Gさんは御言葉を聞きに、Iさんのところに行きました。
ちなみに、一緒に住んでいるBさんは現在学校で作業中。
I「どうしたの?今日は少し元気がないわね」
G「いえ…」
I「…今日は何をしていたの?」
G「ちょっと大学に…」
I「へぇ…」
G「(これも…もしかして私の状況を把握して、上の人に伝えて何かに利用するためなのかな…?)」
瞬間、疑いが頭をよぎります。
G「(…やっぱり、私を騙そうとしているの?)」
Gさんの頭の中で、否定的な考えがグルグル、グルグル回っていました。
G「(うぅ…頭痛い!こんなこといちいち考えるくらいなら、いっそ…!)
あの!」
I「なにかしら?」
G「…Iさんはカルトについて、どう思いますか?」
I「え?カルト?」
G「はい。最近ニュースで話題になっているじゃないですか?色々な事件を起こして…」
I「そうね…。宗教絡みの事件はよく聞くわ」
G「Iさんは…どう思いますか?
率直に言って、私は宗教って怪しいと思います。特にカルトって言われているところは本当に怖いです。だって、何に利用されるかわからないし…命の危険だってあるかもしれない」
I「…」
Iさんはしばし考えます。
G「(…これでどう答えるか、それで判断しよう!
もしホントに私を騙すところだったら、この質問聞いて焦るはず…!)」
そんな思惑を持ったGさんのことは露知らず、Iさんは…
I「ねぇ…Gさん。
あなたは、宗教のどんなところが危ないところだと思う?」
笑顔で、そう言いました。
G「…えっ?宗教の危ないところ…ですか?」
I「そう。今『利用されるかもしれない』とか『命の危険が…』って話していたじゃない?
なにか、思い当たる節があるのかなって思って」
Iさんの問いかけに、しばし考えるGさん。しかし、すぐにその思いを話します。
G「…確かに、人は何かを信じたい気持ちってあると思います。
でも…それを利用してお金をふんだくったり、自分の目的を果たすために人の命まで奪う。
そうでなくても、『信じなければ救われない』って言って人の心を不安にさせて、信じさせる…それって、脅迫と変わらないじゃないですか?」
I「…ええ」
G「人を考えさせない、考えることを放棄させて、信じ込ませて…そうやって自分の名誉とか、お金を得たいがために利用する。そういうことが、宗教に多い気がするんです」
I「そうね」
G「私、聖書は好きだし良いと思うんです。でも、それを利用して人を騙そうとする人が…許せません!」
Gさんはそうきっぱりと言い切ります。
I「…」
それに対して、しばし考えるIさん。沈黙の時が続きます。
I「…Gさん、まずね。
カルトと怪しい宗教は違うの」
G「…え?」
Iさんの言葉に、ポカンとするGさん。
I「もう一度言うわ。
カルトと怪しい宗教は、本来別のものよ」
G「え、ちょっと待ってください!そうなんですか!?」
I「ええ。
カルトというのは『反社会的な活動をする宗教団体』という意味で使われるわ。『危険な洗脳集団』という風なニュアンスでも使われるわね」
G「あ、『危険な』宗教団体をカルトと言うんですか。…って、それは知ってますよ!」
I「ええ。だから、
『宗教』すべてが危険ではないわ。それがどんなに怪しかったとしても、ね」
G「そうでしょうか?私にはどれも危険そうに見えますが…」
I「日本では、宗教、特に新興宗教が社会的な問題を起こしているから、『怪しい宗教』がカルトのように見られてしまっているわね。だから、すべての宗教の勧誘が『カルト』扱いされているという要素もあるわ」
G「…でも、お金をとったり、人の考えを洗脳するように見えるところはいっぱいありますよ」
I「Gさん。宗教はね、どこも一つの思想、理念に基づいて行動しているの。もちろん、これは宗教に限ったことではないけど、宗教は『見えない世界』に主眼を置いて思想を構築している、と言えるわ」
G「…意味がわかりません」
I「え…」
G「難しい言葉ばかりで頭が痛くなりそうです…。」
そう、涙目で話すGさん。
I「簡単に言うとね、宗教内のすべての行動には”意味”があるのよ。
彼らの教えを人に伝えること、お金をとる、という風に見える行為にも。それは”その宗教を信じていない人”には『洗脳』のように見えるし、『お金を騙しとる』ように見える。」
G「あ…少し、わかった気がします。
『信じなければ救われない!』と言って脅迫しているように見えるけど、それも彼らにとっては『本当にそうだ』と思っているから、なんですね」
I「そういうこと。
もちろん…『人の考えを無理矢理に変えさせる』ことや『詐欺』、『暴力』が肯定されるわけではない。それは悪いことよ」
G「そうですよね!」
I「聖書を利用して、って話してたけど、キリスト教でもこの怪しい宗教をとても警戒している。それを「異端」と呼んでいるわ」
G「異端…よく聞きますね、その言葉」
I「それは、次の聖句があるから。」
そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。
マタイによる福音書24章4-5節
I「いわゆる偽キリスト、騙す人が自分達の救いを奪おうとするから、それに警戒しているの」
G「…でも、正統だって言われていたカトリックもかつては免罪符とか売って腐敗してたし、戦争だって起こしましたよね?それって…」
I「そう、何が正しくて、何が間違っているのか。
どの宗教がよくて、どの宗教が間違っているのか。
それは…人の目には判断できないわ。
世の中がどんなに正しいと言ったとしても間違っているところもあるし、世の中がどんなに間違っていると言ったとしても正しいところは存在する」
G「じゃあ…Iさんは、どう判断しているんですか?
Iさんは今の御言葉が正しいと思っているんですよね」
I「私はね、その方法を教えてもらったの。この御言葉を伝えている牧師さんから。そして、それを使って判断したわ」
G「その方法って…」
Gさんの疑問に、Iさんは
I「もちろん、これよ」
聖書に手を置きながら、そう答えました。
G「…なるほど!そうやって見分けるんですね」
I「ええ。これで…もう怪しい宗教に騙されないでしょ?」
G「そうですね…えっ?」
講義が終わり、Iさんの問いかけに驚くGさん。
I「私の推測だけど…Gさん、一回宗教でトラブルがあったんじゃないかな、と思って」
G「…ご明察です。
私、一度友達に「ここいいよ!」って連れられて、危うく壺を買わされかけたことがあったんです。それで友達だと思っていたのに仲が悪くなるわ、このトラブルで家庭も少し大変になるわで…もう、イヤでした」
I「日本はね、宗教についてあまりに知識がないの。だから、本当に危険なところでも、それとわからず信じてしまう。
もう、今日の話でどこが信じていいところなのかわかったでしょ?」
G「ええ…もう騙されません!」
そうにこやかに話すGさん。それを見ながらIさんは微笑んで、最後に一言話しました。
I「Gさん、最後にこれだけは覚えておいて…」
G「『神様はGさんのこと、そういうところからも守りたいのよ。こんなにも聖書が好きな子、滅多にいないから。』…か」
Iさんの帰りがけの言葉を振り返るGさん。
G「でも…ここの牧師さんも、相当聖書が好きなんだろうな…。
すべてのことを聖書に基づいて考えて、すべてのことを聖書に基づいて決めて、行って…」
いまだ会ったことのない牧師先生のことを思います。
G「ここの御言葉って…本当に聖書を大切にするんだなぁ…」
聖書を大切にする、その想いに触れて、Gさんはここが好きになるのでした。
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「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。
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