聖書研究:ヨエル書3章12節〜ヨシャパテの谷〜

おはようございます、satoです。
聖書通読の条件も4ヶ月目に突入しました。現在旧約聖書の小預言書たち2読目です。
小預言書は5章未満のものも多く、一気に読んでしまいがちですが(それに加えて、最近は若干ノルマ感が出てしまっていたところもあります)、よくよく読んでみると結構面白い話もあったりします。
今日は一昨日までに一度読んでみた箇所を午前中にもう一度読み直しました。ちょっと読み飛ばしている感があったので…。

その中で、「結構深い内容だな…」と思ったのが、次の聖句です。

3:12もろもろの国民をふるい立たせ、
ヨシャパテの谷にのぼらせよ。
わたしはそこに座して、
周囲のすべての国民をさばく。

口語訳聖書 ヨエル書3章12節

これはヨエル書の一場面ですが、ここで「ヨシャパテの谷」と書いてある箇所が気になったので、こちらを深く調べてみました。

ヨシャパテとは

ヨシャパテというのは南ユダの王の一人で、アサ王の子です。

17:1アサの子ヨシャパテがアサに代って王となり、イスラエルに向かって自分を強くし、 17:2ユダのすべての堅固な町々に軍隊を置き、またユダの地およびその父アサが取ったエフライムの町々に守備隊を置いた。 17:3主はヨシャパテと共におられた。彼がその父ダビデの最初の道に歩んで、バアルに求めず、 17:4その父の神に求めて、その戒めに歩み、イスラエルの行いにならわなかったからである。

口語訳聖書 歴代志下17章1−4節

ヨシャパテは神様に対して正しく行った王の一人で、偶像でなく神様を信じてその道を歩みました。

17:6そこで彼は主の道に心を励まし、さらに高き所とアシラ像とをユダから除いた。

17:7彼はまたその治世の三年に、つかさたちベネハイル、オバデヤ、ゼカリヤ、ネタンエルおよびミカヤをつかわしてユダの町々で教えさせ、 17:8また彼らと共にレビびとのうちからシマヤ、ネタニヤ、ゼバデヤ、アサヘル、セミラモテ、ヨナタン、アドニヤ、トビヤ、トバドニヤをつかわし、またこれらのレビびとと共に祭司エリシャマとヨラムをもつかわした。 17:9彼らは主の律法の書を携えて、ユダで教をなし、またユダの町々をことごとく巡回して、民の間に教をなした。

17:10そこでユダの周囲の国々は皆主を恐れ、ヨシャパテと戦うことをしなかった。 

口語訳聖書 歴代志下17章6−10節

具体的には国の中にある偶像を取り除き、祭司たちを遣わして律法を教えて民たちが従うようにさせました。
このことによって神様はユダとヨシャパテを守り、周りの国々はヨシャパテと戦うことをしませんでした。

19:4ヨシャパテはエルサレムに住んでいたが、また出て、ベエルシバからエフライムの山地まで民の中を巡り、先祖たちの神、主に彼らを導き返した。

口語訳聖書 歴代志下19章4節

また、ヨシャパテはエルサレムにいましたが、べエルシバからエフライムの山地まで行って神様を信じさせるようにした、とあります。ここでポイントなのが、べエルシバやエフライムはイスラエルの地方であるということです。
ヨシャパテはユダだけでなく北イスラエルにも神様を信じさせる行いをしていたわけです。

19:5彼はまたユダの国中、すべての堅固な町ごとに裁判人を置いた。 19:6そして裁判人たちに言った、「あなたがたは自分のする事に気をつけなさい。あなたがたは人のために裁判するのではなく、主のためにするのです。あなたがたが裁判する時には、主はあなたがたと共におられます。 19:7だからあなたがたは主を恐れ、慎んで行いなさい。われわれの神、主には不義がなく、人をかたより見ることなく、まいないを取ることもないからです」。

19:8ヨシャパテはまたレビびと、祭司、およびイスラエルの氏族の長たちを選んでエルサレムに置き、主のために裁判を行い、争議の解決に当らせた。彼らはエルサレムに居住した。 19:9ヨシャパテは彼らに命じて言った、「あなたがたは主を恐れ、真実と真心とをもって行わなければならない。 19:10すべてその町々に住んでいるあなたがたの兄弟たちから、血を流した事または律法と戒め、定めとおきてなどの事について訴えてきたならば、彼らをさとして、主の前に罪を犯させず、怒りがあなたがたと、あなたがたの兄弟たちに臨まないようにしなさい。そのようにすれば、あなたがたは罪を犯すことがないでしょう。 19:11見よ、祭司長アマリヤは、あなたがたの上にいて、主の事をすべてつかさどり、イシマエルの子、ユダの家のつかさゼバデヤは王の事をすべてつかさどり、またレビびとはあなたがたの前にあって役人となります。雄々しく行動しなさい。主は正直な人と共におられます」。

口語訳聖書 歴史代下19章5−11節

また、ユダの街々に裁判官や祭司たちを置きましたが、彼らに対して「真実に行う」ことを重ねて強調しました。
自分自身だけでなく裁判官たちにも正直に真実に行うようにさせましたが、これは後の歴史を見ても本当に素晴らしい行いだったと思います。

唯一の過ちは、偶像崇拝でお馴染みのイスラエルの王アハブ、およびその息子アハジヤを手を組んだことです。
ヨシャパテはアハブと共に戦いに挑みますが、そのときにアハブに王の変装をしてほしいと言われ、実際に変装したら命を狙われました。

18:29イスラエルの王はヨシャパテに言った、「わたしは姿を変えて戦いに行きましょう。しかしあなたは王の衣を着けなさい」。イスラエルの王は姿を変えて戦いに行った。 18:30さて、スリヤの王は、その戦車隊長たちに命じて言った、「あなたがたは小さい者とも、大きい者とも戦ってはならない。ただイスラエルの王とのみ戦いなさい」。 18:31戦車隊長らはヨシャパテを見たとき、これはきっとイスラエルの王だと思ったので、身を巡らしてこれと戦おうとした。しかしヨシャパテが呼ばわったので、主はこれを助けられた。すなわち神は敵を彼から離れさせられた。18:32戦車隊長らは彼がイスラエルの王でないのを見たので、彼を追うことをやめて引き返した。

口語訳聖書 歴代志下18章29−32節

そこでヨシャパテは神様を呼び願い求めたので、敵は狙っていたアハブでないことを分かって引き返しました。
神様を呼んだことで命を救ったのです。
余談ですが、この「神様を呼んだことで敵がアハブでないと気づいた」というのが面白くて、「アハブは神様を呼び求めないだろう」と彼らも考えていたのかもしれません。それくらいアハブの所業は周りの国に認知されている、ということでしょうか。
ちなみに、この戦いで一兵卒に変装したアハブは何も知らない一般兵に矢を射られて死んでしまいました。

ヨシャパテの谷に該当する箇所

さて、そんなヨシャパテですが、ある時にモアブ、アンモン、エドムなどから多くの敵に攻められる事態が起こりました。
これに対して、ヨシャパテは神様に助けを求め、ユダの人たちに対して断食を布告しました。そして、主に求めるために集まったユダの民たちの前に立ち、神様にお祈りをしたのですが、これがとてもいい祈りだったので、長いですが引用します。

20:5そこでヨシャパテは主の宮の新しい庭の前で、ユダとエルサレムの会衆の中に立って、 20:6言った、「われわれの先祖の神、主よ、あなたは天にいます神ではありませんか。異邦人のすべての国を治められるではありませんか。あなたの手には力があり、勢いがあって、あなたに逆らいうる者はありません。 20:7われわれの神よ、あなたはこの国の民をあなたの民イスラエルの前から追い払って、あなたの友アブラハムの子孫に、これを永遠に与えられたではありませんか。 20:8彼らはここに住み、あなたの名のためにここに聖所を建てて言いました、 20:9『つるぎ、審判、疫病、ききんなどの災がわれわれに臨む時、われわれはこの宮の前に立って、あなたの前におり、その悩みの中であなたに呼ばわります。すると、あなたは聞いて助けられます。あなたの名はこの宮にあるからです』と。 20:10今アンモン、モアブ、およびセイル山の人々をごらんなさい。昔イスラエルがエジプトの国から出てきた時、あなたはイスラエルに彼らを侵すことをゆるされなかったので、イスラエルは彼らを離れて、滅ぼしませんでした。 20:11彼らがわれわれに報いるところをごらんください。彼らは来て、あなたがわれわれに賜わったあなたの領地からわれわれを追い払おうとしています。 20:12われわれの神よ、あなたは彼らをさばかれないのですか。われわれはこのように攻めて来る大軍に当る力がなく、またいかになすべきかを知りません。ただ、あなたを仰ぎ望むのみです」。

口語訳聖書 歴代志下20章5−12節

8−9節についてはソロモンが主の宮を建て終えた時の祈りの一節です。

6:34あなたの民が敵と戦うために、あなたがつかわされる道によって出るとき、もし彼らがあなたの選ばれたこの町と、わたしがあなたの名のために建てたこの宮に向かってあなたに祈るならば、 6:35あなたは天から彼らの祈と願いとを聞いて彼らをお助けください

口語訳聖書 歴代志下6章34−35節

今回の内容に合致している部分だけ引用しましたが、ソロモンの祈りの中には書いてあるすべての場合について神様に願い求めています。
また、その後のアンモンやモアブについての話ですが、これはモーセがカナンに向けて民たちを導いていた時の頃の話です。

20:19イスラエルの人々はエドムに言った、「わたしたちは大路を通ります。もしわたしたちとわたしたちの家畜とが、あなたの水を飲むことがあれば、その価を払います。わたしは徒歩で通るだけですから何事もないでしょう」。 20:20しかし、エドムは「あなたは通ることはなりません」と言って、多くの民と強い軍勢とを率い、出て、これに立ちむかってきた。 20:21このようにエドムはイスラエルに、その領地を通ることを拒んだので、イスラエルはエドムからほかに向かった。

口語訳聖書 民数記20章19−21節

2:9その時、主はわたしに言われた、『モアブを敵視してはならない。またそれと争い戦ってはならない。彼らの地は、領地としてあなたに与えない。ロトの子孫にアルを与えて、領地とさせたからである。

2:18『おまえは、きょう、モアブの領地アルを通ろうとしている。 2:19アンモンの子孫に近づく時、おまえは彼らを敵視してはならない。また争ってはならない。わたしはアンモンの子孫の地を領地として、おまえに与えない。それをロトの子孫に領地として与えたからである。

口語訳聖書 申命記2章9,18−19節

このように、神様はモーセを通してヤコブの兄弟エサウの子孫やロトの子孫たちの土地をイスラエルの民に与えることはなさらず、ただカナンの地だけを与えました。
しかし、それに対して彼らは現在イスラエルの地を奪おうと攻めてきているのを指して「神様が良くしたのに、このように報いるのか」と彼らの行いを訴え、そして自分達に力がないことを認めて祈り求めました。

このように、ヨシャパテは歴史をしっかり学び、祈りの時にスラスラと出るくらいに頭に残っていることがわかります。相当に賢い人でもあると思いました。
そして、この祈りに対して、神様は以下のように答えられました。

20:17この戦いには、あなたがたは戦うに及ばない。ユダおよびエルサレムよ、あなたがたは進み出て立ち、あなたがたと共におられる主の勝利を見なさい。恐れてはならない。おののいてはならない。あす、彼らの所に攻めて行きなさい。主はあなたがたと共におられるからである』」。

口語訳聖書 歴代志下20章17節

この答えを受けてヨシャパテとユダの民たちは皆平伏し、神様を褒め称えました。

そして、敵たちと相対した時、ヨシャパテは軍隊を置くのではなく、ただ神様を褒め称える賛美をさせました。

20:20彼らは朝早く起きてテコアの野に出て行った。その出て行くとき、ヨシャパテは立って言った、「ユダの人々およびエルサレムの民よ、わたしに聞きなさい。あなたがたの神、主を信じなさい。そうすればあなたがたは堅く立つことができる。主の預言者を信じなさい。そうすればあなたがたは成功するでしょう」。 20:21彼はまた民と相談して人々を任命し、聖なる飾りを着けて軍勢の前に進ませ、主に向かって歌をうたい、かつさんびさせ、

「主に感謝せよ、
そのいつくしみはとこしえに絶えることがない」と言わせた。 

口語訳聖書 歴代志下20章20−21節

その時神様は同士討ちをさせて敵たちを皆倒してしまいました。

20:22そして彼らが歌をうたい、さんびし始めた時、主は伏兵を設け、かのユダに攻めてきたアンモン、モアブ、セイル山の人々に向かわせられたので、彼らは打ち敗られた。 20:23すなわちアンモンとモアブの人々は立ち上がって、セイル山の民に敵し、彼らを殺して全く滅ぼしたが、セイルの民を殺し尽すに及んで、彼らもおのおの互に助けて滅ぼしあった。

口語訳聖書 歴代志下20章22−23節

このようにして、神様はヨシャパテとユダの民たちを救ったのですが、この場所が…

20:26四日目に彼らはベラカの谷に集まり、その所で主を祝福した。それでその所の名を今日までベラカの谷と呼んでいる。 

口語訳聖書 歴代志下20章26節

ベラカの谷と呼ばれています。おそらくこれがヨシャパテの谷と呼ばれている箇所かと思われます。

ヨエル書の聖句

これを踏まえて改めてヨエル書の聖句を見てみましょう。

3:12もろもろの国民をふるい立たせ、
ヨシャパテの谷にのぼらせよ。
わたしはそこに座して、
周囲のすべての国民をさばく。

口語訳聖書 ヨエル書3章12節

神様は国民を奮い立たせてヨシャパテの谷に登らせ、そこで周囲のすべての民を裁くと話されました。
ここで「裁く」というのがどのように行われるのか、なぜヨシャパテの谷で行われるのかということを考えたときに、ヨシャパテとユダの民が神様を頼りにして困難を乗り越えたことを基準として、他の民たちがそのように行ったのかを見て神様が裁くということなのかなと考えました。
神様は「基準がなければ裁くことはしない」のですが、この基準がヨシャパテの経緯ではないかというのが私の見解です。

私自身もヨシャパテについて改めて調べると色々見習うべきところがあると思いました。
歴史について学び、過去の経緯を経てしっかり訴えたり、常に神様を畏れることを教えることなど…。
今後の信仰に取り込めるところはどんどん吸収していきたいです。

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。