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日本人ってすごいんですよ!代数解析学編

日本人ってすごいんですよ!代数解析学編

おはようございます、satoです。

最近数学の話を書いていませんでしたが、久々に書こうと思います。
2年前くらいだったかに日本人の自殺率の多さに驚き、もっと日本ってすごいんだ!という話を書こうと思ったのが

日本人ってすごいんですよ!数学・フィールズ賞編

なのです。余談ですが、この記事一時期「フィールズ賞」で検索すると何故か、本当に何故かトップ10位以内に出てきまして、そのために「宇宙際タイヒミュラー理論入門を読んでみた」を書くまでは長らく人気記事として君臨していました(笑)
私としてはそこまでしっかりと書いたわけではないのですが^^;

というわけで、その続編として、今回は

日本人数学者によって考案され、日本人数学者が中心となって発展させた数学の分野

をご紹介したいと思います。専門的な内容ですが、最後までお付き合いしてくださると嬉しいです。

代数解析学

という分野があります。
代数解析学というのは、一言で言うと関数を代数的に研究する分野です。
もう少し細かく話しますと、微分方程式が強く関わっています。

そもそも「代数学」といえば「方程式」です。元々方程式の解法を研究していたところから始まって、アーベルやガロアによって「群論」を用いて方程式の解の「対称性」という構造が研究されたことによって、今のように「構造を研究する」分野になりました。
一方「解析学」というのは「(連続)関数」を研究します。関数というのは「数を入力すると、別の数を出力する」というもので、この性質を理解するためにあらゆることをしています。特に大小関係や極限操作(イプシロンデルタ論法)をよく用いています。

ところで、関数には「微分」という操作があります。微分というのはここでは「関数から別の関数を作る」操作のこと、と思ってください。

    \[\frac{d}{dx}x^2=2x\]

みたいに。

この微分をすることによってどのような関数になるか、を考えるのが微分方程式です。たとえば指数関数e^xは微分しても変わらないので

    \[\frac{d}{dx}y=y\]

が成り立ちます。これを

    \[(\frac{d}{dx}-1)y=0\]

と書きます。この左側にあるものが微分方程式です。

微分方程式は物理や経済にも出てくる等とても重要なものです。数学ではナビエ・ストークス方程式の解に関する未解決問題がありますが、この方程式はかなり複雑な形をしています。

微分方程式の「形」を見る

ところで、この微分方程式はちょっと見ると分かるように「代数方程式」とよく似た形をしています。
代数方程式は未知である数を「x」という文字で置き換え、それを足し算したり引き算したり、何乗かしたりして出来ています。例えば

    \[x-1=0\]

    \[x^2+1=0\]

のように。

これと同じく、微分方程式は未知関数をyと置いて、それを微分したり関数との積を考えたりすることで成り立っています。そういう意味ではこの二つの方程式は似ています。唯一違うのは

代数方程式は「数」を置き換えているので掛け算の交換法則が成り立っています(つまり可換環)が、微分方程式は「関数」を置き換えているので「微分と関数の順番」は変えられない(つまり非可換環)ということです。

さて、ここから少し、いやかなり難しい話になるのですが、代数方程式は「多項式環」のイデアルによって表現できて、たとえばR/Iというものを考えてやると方程式の解の性質を知ることが出来ます。このあたりは別の機会で詳しくやりたいです。
このような手法で考えられていったのが「代数幾何学」なのですが、これと同じような手法を微分方程式の場合でも出来る、と考え実現したのが佐藤幹夫です。

この人は代数解析学の基本的な考えである「微分作用素環とそのイデアルによる表現」を開拓し、その他関数を拡張した「超関数」を独自の方法で作りあげ一つの分野を作りました。それが代数解析学です。
元々グロタンディークもこのような発想があったみたいで、それを再現したのがゾグマン・メブグなのですが、それとは独自に作り上げたのです。

代数解析学のその後

佐藤幹夫が作った代数解析学はその後柏原正樹や河合隆裕などによって大きく発展していきます。
具体的には微分作用素の形式的な逆要素である「擬微分作用素」、接空間の方向を含めた局所化(超局所化)、マイクロ関数等を考案して代数解析学の基礎を作り上げました。さらに、コーシー・コワレフスカヤの定理を拡張したり、ヒルベルトの23問題の一つを代数解析学の手法で解決するなど大きく活躍しました。

佐藤幹夫の議事録を見てみると、彼の研究の哲学が垣間見えます。代数解析学は現在「線形微分方程式」という一番簡単なもので発展していますが、もっと複雑な「非線形微分方程式」でも使えるように拡張するようでした。

このように語れば面白い理論が日本から出てきた、というのは本当にすごいことだと、私は思います。

この記事を書いたブロガー

sato
「素直に、深く、面白く」がモットーの摂理男子。霊肉ともに生粋の道産子。30代になりました。目指せ数学者。数学というフィールドを中心に教育界隈で色々しています。
軽度の発達障害(ADHD・PD)&HSP傾向あり。

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